2017 Fiscal Year Annual Research Report
The balance of payments and international investment position in economic development
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15K03455
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
大野 正智 成蹊大学, 経済学部, 教授 (60302311)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際マクロ経済 / 国際収支統計 / 対外資産負債 |
Outline of Annual Research Achievements |
先進国に見られる経済停滞や金融緩和政策の代表例として、日本の実体経済の上昇効果について時系列分析を行った。人々の期待を含めたマクロモデルを構築し、非伝統的金融政策が、実体経済、為替レート、及び、インフレ率にどのように影響を与えるのかを実証分析した。第1に、拡大的金融政策は金融変数にも実体変数にもプラスの効果は一時的にしか現れないことを明らかにした。第2に、人々の円安予測は、拡大的金融政策の実効性が現れる以前から発現することが明らかになった。つまり、日米欧で行われている非伝統的金融政策は先進国自体の経済発展に有効な効果がないことが結論付けられた。この研究は、Journal of the Japanese and International Economies,Volume 45,September 2017, に掲載された。 米国と英国の国際収支統計および対外資産負債統計を使って、両国の発展段階の推移を研究した。対外資産債務において、米英とも債務超過国であるが、近年、両国の国際収支については大きな相違が見られた。米国は債権取崩国の状態であるが、フローベースの対外資産からの収益が対外負債からの支払いを安定的に越えており、引き続き、債券取崩国が継続されるものとみられる。この点で、米国は超過収益を得るというExorbitant Privilegeを享受している。一方、英国にも対外資産債務の全体としてはExorbitant Privilegeの特徴が見られるもののその内訳は米国とは異なる。特に、2010年代に入って英国では対外資産負債からの超過収益のマイナスが顕著になってきている。国際収支発展段階説で言えば、英国は債権取崩国から未成熟債務国へ移行した可能性があることが明らかになった。この研究は『成蹊大学経済学論集』第49巻第1号(2018年7月刊行予定)に掲載の予定である。
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