2016 Fiscal Year Research-status Report
自動車税制のグリーン化が車種選択に与えた影響について
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15K03460
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Research Institution | Tokyo Woman's Christian University |
Principal Investigator |
二村 真理子 東京女子大学, 現代教養学部, 教授 (40340137)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自動車関係諸税のグリーン化 / 環境対応車 / 次世代自動車 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はわが国の地球温暖化問題に対する運輸部門の政策のなかから、環境対応車の普及のための政策について分析を行うものである。具体的には自動車の取得、保有に対する課税の調整による、自動車保有に与える影響について分析を行っている。我が国の運輸部門における二酸化炭素排出量は2001年以降、減少傾向が続いており、これは環境対応車の普及の影響が大きいとの評価が存在する。この環境対応車の普及にはいわゆる「エコカー減税」などの市場メカニズムを用いた政策の効果に加え、燃料価格の高騰の影響も大きかったものと思われる。本研究は環境対応車の選択問題に与える要因を明らかにすると同時に、このような課税政策が自動車の買い替えのタイミングに与える影響を分析することを目的としている。 本年度はまず、2008年度発行の初度登録年別自動車数データを用いて、燃料価格の変動の影響が自動車の選択に与えた影響について分析を行い、ヨーロッパ地域学会において報告を行った。各国の参加者より、日本のガソリン税の現状や燃料価格と環境対応車(ハイブリッド自動車、電気自動車)の増加の関係等、報告に対するコメントをいただいた。この報告は本研究の予備的な研究という位置づけにある。 また、平成27年度に検討した初度登録年別自動車数データを今年度購入し、自動車の減車関数の推計を試みた。購入した統計は47都道府県の排気量別データであるが、まずは東京近県のデータに絞り、日本交通学会にて報告を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に購入を検討したデータが届き、実際に分析を開始した。その結果、統計に一部矛盾を発見したため、平成29年度はまず矛盾の要因の解明、さらに調整の上、あらためて分析に移行する予定である。これにより、平成29年度は、平成28年度に関東近県に限って行った分析を全国に拡大したうえで、廃車関数の推計を行う。 また、平成28年度は分析にあたって、これまでの運輸部門における地球温暖化問題の整理や、関連政策、またその評価について整理を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の学会報告では、各県で各年に初度登録された自動車の廃車関数を推計する事を目的とした。本研究では以下の3つの仮定を前提としている。①各年に初度登録された自動車は年々減少していく、②原則として登録自動車の減少数は逓増していく、③何等かの政策や燃料価格の増減に登録自動車の減少数は依存する。しかし、一部のデータにおいて①の仮定が成立しないケースがあり、時間の経過に対して自動車登録数が増加している例が散見された。この矛盾の解明や利用データの調整を行った上で当初の予定に沿った廃車関数の推計を行う。さらに、その結果より人々が廃車を決定するタイミングと関連政策の関係について分析を行う。 平成29年度は最新データを追加購入し、各県における自動車選択に関する時系列分析を行う。 また、今年度は自動車関連政策が自動車選択に与えた効果の分析として、DID分析を取り入れる予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度1月に発注したパソコンが一時的に在庫切れし、手配の完了が新年度に入ったため、支払が次年度繰越となった。 また、当初購入予定の統計は長く遡ることは出来るものであったが、平成28年度に購入する統計を見直した上で発注したところ購入可能な期間が限られることが判明し、結果的に使用金額が縮小した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
自動車選択に関する時系列分析も行う予定であり、自由度を高めるためにも出来るだけ長い期間のデータが必要である。このため平成28年度ー29年度の統計の追加購入をする。 また、購入したパソコンにインストールするための統計ソフト(TSPの予定)を購入する。 海外学会、日本交通学会に出席し、同分野に関連する研究動向を探り、意見交換等を行う。
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