2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03466
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
明城 聡 法政大学, 経済学部, 准教授 (70455426)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 拓朗 一般財団法人電力中央研究所, 社会経済研究所, 特定主任研究員 (90790296)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 都市ガス産業 / 規制緩和 / 参入退出 / 公営事業者 / プロビットモデル / 生存時間解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市ガス産業において1990年代以降に行われた規制緩和が民営事業者の参入に与えた影響を定量分析した。1990~2010年の自治体レベルでのパネルデータを用いて、都市ガス産業での参入事業者数を需要要因、供給要因、および規制緩和の影響で説明する回帰モデルを推定した。この結果、需要が大きい地域ほど民営事業者は増加する傾向があるが、ある水準を超えるとむしろ事業者数は減少することが分かった。この研究成果については査読論文として公益事業研究(公益事業学会)へ投稿済みである。 また都市ガス産業における公営事業者の事業譲渡に着目し、どのような要因が公営事業者の存続に影響を与えるのかを分析した。1990年時点で存在した全国72の公営事業者について自治体および公営事業者の財政指標による区分で生存時間を比較したところ、歳入、人口、製造品出荷額、財政力指数の小さい自治体では公営事業が長く存続する傾向があった。また、Coxの比例ハザードモデルを用いてこれら共変数と事業譲渡の関係を調べたところ、歳入や財力指数は正に有意となり事業譲渡が行われる確率(ハザード率)を高める結果となった。これら指標の高い地域には都市ガス需要の高い地域が多く含まれており、民営化を希望する自治体が譲渡先の事業者を見つけやすいということが考えられる。また公営事業者の保有資産額はハザード率に対して負に有意となり事業譲渡が行われる確率を下げる結果となった。 資産規模が大きいほど都市ガスの供給地域も広くなることから、民営事業者にとって事業譲渡を受けた後の負担も大きくなる可能性がある。不採算地域を抱えるリスクを避けようとする経営判断が公営事業者の民営化を妨げているのかもしれない。この研究成果については平成29年度のガス事業研究会報告書(都市エネルギー協会)に掲載済みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
都市ガス産業の規制緩和に関する研究成果が複数出ていることからおおむね順調に進展していると言える。また成果物については順次、査読付きの学術論文として学会誌への投稿を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
最終年度には、これまでに集積した企業および地域レベルでのデータを用いて民間事業者の新規参入および退出に関する構造モデルを推定する。動学的な利潤最大化を所与として、都市ガス事業者の参入行動に規制緩和が与えた影響をより詳細に分析する。規制緩和については特にガス託送制度に着目し、この制度の影響を定量モデルから明らかにする予定である。
|
Causes of Carryover |
都合により国際学会への参加が先送りとなったため、その旅費が当該年度の予算として残ることになった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度では国内外での学会発表を増やすことで当初の予算額を消化する予定である。
|
Research Products
(1 results)