2018 Fiscal Year Annual Research Report
Changing Diet along Economic Development and its Effects on Health
Project/Area Number |
15K03472
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
大村 真樹子 明治学院大学, 経済学部, 教授 (80397835)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 経済発展 / 食と健康 / 食のグローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、経済発展に伴う生活様式の変化と食の欧米化・工業化との関連性、そして食の近代化が健康に与える影響を、異なる食文化を対象に、主にマクロデータを使用した経済学的アプローチで統計学的に検証する。これは、《経済発展 → 生活様式の変容 → 食の近代化 → 健康への影響》といった一連の関連性を検証するものである。これまで、異なる経済発展レベル・食文化の国々(タイ、イギリス、フランス、スペイン、イタリア、アラブ首長国連邦、南アフリカ、メキシコ、アメリカ、カナダ、日本)を対象に、日常食されている食材や食料品を調査した。国の経済レベルに関わらず、食の近代化やグローバリゼーションの傾向が見受けられたが、それぞれの固有の文化に根ざした食の多様性が特に途上国では見られた。なお、本年度は、カナダ、オーストラリア、フランスにおいて、現地の食料品事情に関する実地調査を実施した。 食の健康への影響に関しての複数国間の検証は現在進行中であるが、様々な食材が国境を行きかう現在において、日本の消費者がどのように食を選択し、またそうした選択と健康がどのように関連しているのかを、国産牛肉・輸入牛肉の消費性向から検証した。1992年から2007年の国内の国産及び輸入牛肉消費量(15年間タイムラグ)と、2005年から2017年のホルモン依存性癌罹患率の関連性を検証すると、5種類全ての癌に対して輸入牛肉消費量との関係が有意に非常に大きいことが示された。しかし、消費量自体のデータからは、ホルモン剤の使用が消費者の選択に影響を与えている可能性は見受けられなかった。Quadratic AIDSモデルで推計されたように消費者がより安価な輸入牛肉の価格に基づき消費選択をしている可能性はもとより、牛肉消費の約6割が外食時のものであること、それと同時にホルモン剤に使用やそれに起因する疾病の可能性を十分に把握していない可能性もあろう。
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