2018 Fiscal Year Annual Research Report
Regional Inequality in Indonesia and the Philippines under Decentralization
Project/Area Number |
15K03473
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
秋田 隆裕 立教大学, 経営学部, 特任教授 (50175791)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 地域間所得格差 / 地方分権 / 消費支出格差 / 財政収入格差 / インドネシア / フィリピン |
Outline of Annual Research Achievements |
1、約15年間の社会経済家計調査データを用いて地方分権化におけるインドネシアの家計間消費支出格差の推移を都市農村、地域、州、県・市などの空間的な観点から分析した。この研究によると、都市と農村間の格差は家計間消費支出格差の約15-25%を説明している。一方、県・市間の格差については、家計間消費支出格差への寄与度に関して都市と農村地域で異なる値を示している。都市と農村別に寄与度を計測すると、都市では20-30%に対して農村では15-20%になる。この都市と農村間の構造的な違いを考慮して2段階格差分解手法により県・市間格差の家計間消費支出格差への総合的な寄与度を計測すると約15-25%になる。すなわち、都市農村間格差と県・市間格差を合わせると家計間消費支出格差への総寄与度は約40%になる。2、2005年から2013年までの州別・産業別の地域所得データを用いて2次元格差分解手法によりインドネシアにおけるサービス産業化と州間所得格差の分析を行った。この研究によると、州間所得格差の約70%から80%がジャワ・バリ地域内の州間格差により説明できる。また、ジャワ・バリ地域内州間格差寄与度が分析対象期間増加しているが、その多くはサービス産業、特に商業部門と交通通信部門の州間格差寄与度の上昇により説明できる。一方、鉱業部門の比重の減少により鉱業部門の州間格差への寄与度が大きく低下しており、鉱業部門を含めた州間格差と含めない州間格差の差が減少している。その結果、鉱業部門の比重が高いスマトラ・カリマンタン地域内州間格差の寄与度が低下している。3、1997年と2006年の家計所得消費データ(FIES)を用いて教育と消費支出格差の分析を空間的な観点から行った。Blinder-Oaxaca手法を用いた分析によると、教育水準の違いが都市農村間格差の主な要因であることが分かった。
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