2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K03474
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
横田 一彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (40390819)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 貿易政策 / 貿易自由化 / 輸出成長 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度には日本‐メキシコ(2004年発効)自由貿易協定を取り上げ,輸出成長を既存の輸出品の増加(Intensive Margin)と新たな輸出製品の出現(Extensive Margin)に分けて理論的・実証的に分析した。その結果,貿易自由化政策はIntensive marginを拡大する一方,Extensive marginは統計的には出現しないことが明らかになった。この結果は経済産業研究所(RIETI)のDiscussion Paperにまとめ現在英文査読誌に投稿中である。 2016年度は新たに日本‐チリ(2007年発効)経済連携協定を取り上げ,貿易自由化政策と輸出成長との関係を分析した。今回作成した理論モデルはリカードの連続財比較優位モデル(Dournbusch-Fischer-Samuelsonモデル)を改良したもので,チリの関税率が6%で一律であることを考慮したものになっている。実証結果はExtensive marginとIntensive marginがともに輸出の拡大に大きく寄与している一方,比較優位構造にも変化が生じていることが新たに分かった。そして比較優位構造の変化はExtensive marginに影響を与え,Intensive marginには大きな影響を与えないことが明らかになった。この成果はRIETIのDiscussion Paperで発表し,英文査読誌に投稿する予定である。 これら2つの研究成果はおおよそ以下のことを示唆している。貿易自由化は輸出を拡大するが,短期的な効果としては既存の輸出を増大させるのであり,新しい製品を輸出するためには学習期間が必要である。また、貿易自由化は短期的にも比較優位構造の変化をもたらし,貿易の拡大に寄与する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
すでに日本とメキシコ,日本とチリの貿易自由化の分析を終え,2つの新しい理論的枠組みも提示できた。
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Strategy for Future Research Activity |
日本‐メキシコ,日本‐チリの貿易自由化の実証結果を注意深く検討し,政策的インプリケーションを導く。同時に貿易自由化と経済成長の理論的拡張を行い,次年度の研究につなげる予定である。また成果を国内外の学会で発表する。
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Causes of Carryover |
出席を予定していた学会を家族の不幸のために取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際学会への旅費,参加費に充当する予定。またプリンターを購入する予定。
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Research Products
(3 results)