2015 Fiscal Year Research-status Report
応用一般均衡モデルによる温暖化対策、及び原発削減の分析
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15K03479
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地球温暖化 / 原子力発電 / 応用一般均衡分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、日本政府は2030年に向けて、温室効果ガスを2013年比で26%削減することを目標とするとともに、原子力発電の利用を現在よりも増加させることを計画している。しかし、CO2の削減目標、原発の利用は現在の日本における重要な政策上の争点になっている問題である。 これらの問題について建設的な議論をおこなうには、CO2の削減や原発の削減がどのような経済的な影響をもたらすかという情報が必要になる。しかしながら、CO2の削減、原発の削減の経済的影響を定量的に分析した研究はそれほど多くはない。以上のような問題意識から、本研究ではCO2の削減、原発の削減の経済的影響をシミュレーションによって定量的に分析することを目的としている。 本年度は、研究の計画のうち、1.モデルの構築、2.データの作成という作業をおこなった。モデルについては、まだまだ改善、改良するべき部分も多いが、プロトタイプとなる段階までは作成することができた。データについてはモデルにおいて考慮する再生可能エネルギーに関するデータを収集した。また、データとして最新の産業連関表を利用するつもりであったが、同時に利用するエネルギーデータが最新の産業連関表には対応していないため、今年度はやむを得ず古いデータを利用することにした。 作成したモデルとデータを基に、原発削減、CO2削減、さらに再生可能エネルギー促進政策のシミュレーション分析をおこなった。その結果、これらの政策を実施することにより、電力部門、GDPや国民所得等のマクロ変数、各産業の生産等にどのような影響があるかを定量的に分析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シミュレーションに利用するデータとして、日本の最新の産業連関表(2011年表)を利用する予定であった。しかし、産業連関表と一緒に利用するエネルギーのデータについて2011年のデータがまだ入手できなかったため、やむを得ず現時点では2005年のデータを用いてシミュレーションをおこなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度にはプロトタイプのモデルを作成した上で、簡単な政策のシミュレーションをおこなった。今後は次のように研究をしていく計画である。まず、データのアップデートをおこなう。進捗状況で記述した通り、入手の問題から現在のところ古いデータしか利用していない。平成28年度は新しいデータが入手可能になった時点で新しいデータにアップデートしてシミュレーションをおこなう。 第二に、再生可能エネルギーの発電についてより詳細なデータを作成する。シミュレーションでは再生可能エネルギーの費用が重要な意味を持ってくる。再生可能エネルギーの費用をできるだけ正確にモデルに導入するためのデータを準備する。第三に、モデルを精緻化する。現在のモデルはまだ単純で、改善するべき部分が多い。より現実的なモデルとなるように改良を加える。第四に、新しいデータ、改良したモデルを基にシミュレーションをおこなう。より現実的な政策シナリオを想定し、様々な政策のシミュレーションをおこなっていく計画である。
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Causes of Carryover |
データの購入、整備に利用するつもりであったが、入手予定のデータがまだ入手可能にはならなかったため今年度には購入、整備費用が生じなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、平成27年度に利用しなかった分(44,364円)も含めて次のように利用する計画である。まず、データ、コンピュータの部品、プリンタのトナーに等の物品費に144,364円、東京、福岡での研究会、学会大会参加のための旅費に250,000円、データの収集、整理のための人件費に150,000円を利用する予定である。
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