2017 Fiscal Year Annual Research Report
Computable general equilibrium analysis of climage change policy and nuclear phaseout policy
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15K03479
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
武田 史郎 京都産業大学, 経済学部, 教授 (00364688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 温暖化対策 / 排出量取引 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、地球温暖化対策が重要な政策課題と認識されるようになり、世界各国で温暖化対策の導入が進みつつある。しかし、日本においては、温暖化対策導入の議論は活発であっても、温暖化対策の経済的影響を定量的に分析するという研究が非常に少ない状況にある。 本研究は応用一般均衡モデル(computable general equilibrium model、以下CGEモデル)を利用し、今後導入が検討されている温暖化対策(GHGの排出規制)、及び原子力発電削減の経済的影響を定量的に分析するという研究である。特に、①電力部門を細分化したモデルを構築、②太陽光、風力、地熱等の再生可能エネルギーを考慮、③2050年まで長期を分析できるような動学モデルへの拡張を行った上で、日本の温暖化対策、原発削減を分析するという点が既存の研究との違いとなる。 本年度は計画通りに①~③の形にモデルを拡張した上で、2050年までの日本の温暖化対策の分析をおこなった。その際に、日本の税を詳細に捉えるようなモデルを構築し、温暖化対策の二重の配当の分析をおこなった。温暖化対策(CO2の排出規制)を導入することにより軽減する税としては、所得税、社会保障の雇主負担、消費税、法人税を考慮した。法人税を考慮するために、投資が動学的な最適化行動によって決定されるforward-looking型のモデルを利用することにした。 シミュレーションの結果、排出規制からの収入を家計にそのまま還元するよりも既存の税を削減することに利用する方が、GDP、所得、厚生などの観点から望ましいという結果が出た。また、法人税の軽減に用いるケースで排出規制の負担が最も軽くなるという結果が出た。本研究の分析によって、排出規制にともなう収入をどのような用途に使うべきかについての重要な考察を得ることができた。
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Research Products
(3 results)