2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development and Applications of an Applied General Equilibrium Model of Global Trade with a Public System that Partially Subsidizes the Fixed Costs of Private Firms
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15K03497
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
小山田 和彦 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究グループ長代理 (30450521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 陽子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センター 経済モデル研究グループ, 研究員 (20450520)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 応用一般均衡分析 / 企業の異質性 / 貿易利益 / 多様性選好 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、公的支出によるインフラ整備や制度変更が企業活動における固定費用負担を軽減させるような仕組みを明示的に取り扱った、応用一般均衡(AGE)モデルを開発することであった。世界貿易を考慮した数多くのAGEモデルで採用される一方で問題点が多いと考えられるArmington仮定に代わるものとして、近年の理論分野における研究成果であるMelitz型の生産・販売システムを考慮し、実際の政策分析に耐えるツールの開発を目指してきた。事業発足以降、研究代表者の小山田が先行して小規模なプロトタイプを開発もしくは拡張し、シミュレーション実験を実施してモデルの基本的性質を確認したうえで研究協力者である板倉の手を借りながら大規模な汎用モデルとして実用化を図るというパターンで作業を進める一方、研究分担者の内田が中心となりモデルの有効性を検証するための実証分析を実施すべく努力を続けてきた。しかしながら三つの深刻な問題に直面し、事業期間延長を経てもなお未解決のまま現在に至る。三つの問題とは、(1)政策立案現場での使用に耐えるための条件として分析対象となる産業部門を自由に選択できるような柔軟性を分析モデルが備えていることが求められるにもかかわらず、Melitz型の生産・販売システムを考慮した産業部門が複数ある場合に数値計算が収束せず均衡解が得られないケースが頻発すること、(2)固定費用が企業の進出先で発生するように設定した場合に、与えられたデータからパラメータ値を決定することが難しいこと、および(3)実証推計の面で期待していたような結果が得られず、モデル自体の修正を含めて試行錯誤してみたものの改善がみられなかったことである。特に(1)は深刻であり、事業期間の大半を原因の特定化などの作業に費やしたが、現時点では一定の方向性すら見いだせていない。事業終了後も引き続き、問題解決のための努力を続けたい。
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