2017 Fiscal Year Research-status Report
アフリカにおける製造業の停滞:労働コストからのアプローチ
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15K03498
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
福西 隆弘 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 地域研究センターアフリカ研究グループ, 研究グループ長 (80450526)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 労働コスト / 労働移動 / 工業化 / アフリカ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、アフリカにおける産業構造の変化について、これまで注目されてこなかった労働コストを取り上げ、その影響を分析しようとすることを目的としている。本年度は、エチオピアの労働者統計を整理し、同国における労働者の移動と労働コスト(賃金)の関係について予備的な分析を行った。同国では輸出向け縫製産業の成長がみられるが、現在のところ都市部において賃金の顕著な上昇は見られていない。農村からの労働移動が活発なため賃金が安定している可能性がある。労働移動の活発さを検討するために、地域(県レベル)で起きた労働供給の変化が、その地域の労働市場に変化を引き起こしたかどうかを、過去10年程度のデータを利用して検討した。その結果、地域レベルの変化は労働市場に影響を及ぼしており、労働者の移動が短期的には活発でないことを確認した。この分析について論文を執筆し、ワーキングペーパーとして出版した。 また、同国での現地調査によって事業所統計データを入手できた。これにより、企業側と労働側の賃金データを突き合わせることが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画時には出版されていなかった先行研究の結果を考慮して、本研究では労働移動をテーマに加えており、そのためのデータの入手に時間を費やした。 また、代表者が雑誌の編集責任者となったことなどにより、研究に費やす時間が減り進捗が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
エチオピアの分析を進めるとともに、他国のデータの分析を始める。データの一部はすでに入手している。複数国の事例の比較を通じて、労働移動と賃金の関係を分析する。
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Causes of Carryover |
研究テーマの追加により当初計画していなかったデータの入手が必要になったこと、研究代表者の業務の増加などの理由により、一年間の事業期間の延長を申請した。来年度は、データ収集とデータ整理、現地調査を含む海外出張に利用する予定である。
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