2018 Fiscal Year Annual Research Report
Analsis of the effect of a large scaled acceptance of immigration in a population declining society and globalization of firms
Project/Area Number |
15K03501
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
内藤 久裕 筑波大学, 人文社会系, 准教授 (00335390)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 移民 / 持続可能性 / 労働市場 / 政治的反応 / ブレグジット |
Outline of Annual Research Achievements |
超少子高齢化社会を迎え、近年、移民受け入れによる経済社会の持続的発展可能性が議論されている。しかし、経済学の文献においても、まだ決まった結論は得られていない。本研究では、移民データの整備、シミュレーション、実証分析、手法の開発を行った。
今年度は、大規模重複世代モデルのシミュレーション分析を行った。以前のモデルでは、移民はいったん入ってくると本国に帰らないというモデルであったが、ある一定の割合が帰国するというモデルを作成し、厚生効果を再評価した。さらに厚生変化の測定方法に関してこれまでは、厚生増加の割引現在価値を計算してそれを初期時点のGDPの割合として計算していたが、レフリーからの指摘を受け、政策変更後の厚生増加分の割引現在価値を、初期の均衡経路でのGDPの割引現在価値で割ったものとして表した。これによって、初期の均衡経路でのGDPの割り引き現在価値の何パーセントぐらいが上昇するかが計算可能になった。
また移民の存在が政治的行動に与える影響に関してイギリスのEU離脱国民投票に関して分析をおこなった。イギリス国民投票における争点の一つは、ヨーロッパ大陸からの移民受け入れの可否であった。この研究では、各選挙区での移民比率とEU脱退賛成票に因果関係があるのかを検証した。ただし、移民比率自身が内生変数であるため通常のOLSは使えない。25年前の産業比率という操作変数を用いて、この内生性の問題を克服し、現在の書く選挙区での移民比率が、投票行動にどのような影響を与えるか分析した。この研究結果を国際経済学会で発表し、現在学術誌に投稿中である。また実証研究で得られた計量経済学手法を応用し、全科学分野で世界で3番目に権威のある学術誌のである全米科学アカデミー紀要に論文が掲載された。また理論分析で得られた手法を用いて、それを消費税の分析に応用し、論文をFinanzArchivに出版した。
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