2016 Fiscal Year Research-status Report
地方財政健全化法と地方自治体の公共サービス供給の効率性に関する研究
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15K03506
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| Research Institution | Niigata University |
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Principal Investigator |
鷲見 英司 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60337219)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 地方財政の効率性 / 地方財政健全化法 / 将来負担比率 / 政治的競争 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間の2年目である平成28年度は，地方自治体の財政運営に関する研究成果として，これまでに行った学会報告の成果を二つの論文にまとめた．
第1に，本研究で行ってきた確率フロンティア分析と公共サービスデータの構築方法を応用し，地方交付税の合併算定替と合併自治体の効率性に関する確率フロンティア分析を共同論文としてまとめ，査読付き論文（『財政研究』第12巻に掲載）として完成させた．本研究では，公共サービス量を本研究のこれまでの成果に基づき独自に算出し，確率フロンティア分析を通じて，合併算定替が合併経過期間に関係なく合併自治体の財政運営を非効率にしていること，普通交付税よりもその効果が大きいこと等を明らかにした．
第2に，地方自治体の首長選挙における無投票当選が首長の財政運営に与えた影響を分析した論文（平成27年11月の公共選択学会で報告）の一部を学会からの依頼論文（『公共選択』第68号，平成29年7月刊行予定）にまとめた．いくつかの海外研究が示すように，政治的競争が地方自治体の公共サービス供給の効率性を改善するのであれば，政治的競争を阻害する無投票当選の常態化には大きな問題がある．しかし，わが国ではこの分野に関する研究蓄積は十分とはいえない．本研究では，都市自治体の首長選挙における無競争状態（無投票当選）がいかなる要因に依存して起こるのかについて，諸仮説を検証し，同一都道府県内の過去の市長選挙の無投票当選割合が影響を与えていること等を明らかにした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
地方財政健全化法下における地方自治体の財政運営に関する研究成果として，平成28年度までに行った学会報告の内容を二つの論文にまとめている．今後はさらに学会報告を行い完成度を高めて，学術論文を発表していく．現在は健全化判断比率の一つである将来負担比率から地方自治体の純債務負担等を算出し，将来負担の多寡が地方財政の効率性に与える影響を分析しており，その成果は5月の地方財政学会で報告予定である．
データ構築に関しては，地方選挙における政治的競争を表す変数として特に首長選挙に関するデータ構築を着実に行ってきた．同時に，健全化判断比率についても，着実な研究実施のためにデータ構築に努めている．分析手法については，確率フロンティア分析において，真固定効果を考慮した分析手法の改善になお一部に課題が残されている．
研究は，現在のところおおむね順調に進展しており，平成29年度は， 3年間の研究をまとめるうえで重要な1年となるため，これまで以上に進捗管理に努めることとする．
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| Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は本研究を総括する1年となるため，下記の研究を年度前半と後半に分けて確実に実行する．
年度前半は，地方自治体の将来負担の多寡が財政規律に与える影響を検証する論文を5月の日本地方財政学会において報告し，学会誌に投稿する．年度後半は，地方政府の効率性を扱った一連の研究には，効率性の改善という点で政治的競争や地域住民の政治参加の重要性を示す実証結果が示されている．そのため，本研究の総括として，地方自治体の首長選挙における無競争状態（無投票当選等の政治的状況）が，地方財政の効率性に与える影響を実証分析し，学術論文としてまとめる．これらの成果は日本公共選択学会等で報告したうえで投稿する予定である．
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| Causes of Carryover |
PC購入を予定したが，購入を次年度に繰り延べたため．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度に繰り延べたPCを購入し，充当することとする．
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