2015 Fiscal Year Research-status Report
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15K03511
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西村 幸浩 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (90345471)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 租税競争 / 非対称地域 / 公共投資 / 公的介護給付 |
Outline of Annual Research Achievements |
学会The 71th Annual Meeting of International Institute of Public FinanceおよびThe 30th Annual Congress of the European Economic Associationに参加し、論文`On the Timing of Tax and Investment in Fiscal Competition Models'(Jean Hindriks氏との共著)を発表し、参加者より高い評価をいただいた。また、討論者としての参加や資料収集なども行った。推敲稿においては、主要結果はより広いクラスの生産関数への拡張が可能であることが示された。推稿された論文は学会1st Belgo-Japanese Public Finance Workshopで報告され、参加者より高い評価をいただき、また、査読付学術誌へ投稿された。また、Jean Hindriks教授(CORE)と、生産性の異なる国家が資本所得税率において競争をする経済モデルにおいて、各国の資本所有(capital ownership)の比率が租税競争における内生的手番決定に与える影響を考察した。この論文は‘Equilibrium Leadership in Tax Competition Models with Capital Ownership: A Rejoinder’としてCORE DISCUSSION PAPER 2015/21に収められ、査読付学術誌に投稿した。査読者からは受理に好意的なレフェリーレポートをいただき、レポートに従った再投稿を果たした。また、Pierre Pestieau教授(CORE)と、社会的に最適な公的介護給付についての研究を進めた。この論文は‘Efficient Taxation with Differential Risks of Dependence and Mortality’としてCORE DISCUSSION PAPER 2015/18に収められ、査読付学術誌Economics Bulletinに受理、公刊された(Volume 36 (1), 52-57)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、非対称な国家間での、外国資本を誘致するための租税競争や公共投資競争の帰結を考察するものである。今年度進展させた諸論文においては、理論結果が「小国」をどのように特定化するかに依存するという既存の研究結果に加え、租税競争と公共投資競争における反応関数の形状の違いや、資本所有率が内生的手番に与える影響などを明らかにさせ、関連分野の知見を高める上で有用な貢献となった。研究成果は国際学会で報告されて高い評価を得て、また学術誌投稿において改訂要求/受理を果たしている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度からの継続として、文献調査・研究打ち合わせおよび理論分析を進める。平行して、Pierre Pestieau教授(CORE)との共著論文‘Efficient Taxation with Differential Risks of Dependence and Mortality’(Economics Bulletin, Volume 36 (1), 52-57)の帰結を、線形所得税(linear income tax)のもとで再考察した研究を進める。また、租税競争の前にゲームのプレイヤーが別の政策変数を動かすケースとして、各国が国際課税に関する租税執行(tax enforcement)の度合いを決めるケースを考える。税務署の職員や司法関係者による査察など、より厳しい租税執行は、多国籍企業の節税行動を弱め、租税競争に有意な影響を与える一方、より高い行政費用がかかり、小国にとっては企業の節税行動からの税収を受け取れないことになる。このケースにおいては、租税競争の帰結や、租税政策決定手番が同時手番の場合と逐次手番の場合の比較など、多くの分析が可能である、
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Causes of Carryover |
当初計画よりも進展があったため、平成28年度に予定していた、研究打ち合わせのための外国出張を平成27年度中に行う必要が出てきた。前倒し請求の際には、正確な見込みを立てるのが難しく、必要に応じた執行をしたため、当初の見込み額と執行額は異なった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究活動に必要であるパソコン周辺機器および文房具の購入、および研究成果発表や資料収集のための、国内および海外出張、および英文論文校正などに用いる予定である。
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Research Products
(9 results)