2015 Fiscal Year Research-status Report
高等教育が経済成長と地域格差に与える影響―多地域世代重複モデルシミュレーション―
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15K03521
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| Research Institution | Yamaguchi Prefectural University |
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Principal Investigator |
進藤 優子 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (80590075)
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| Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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| Keywords | 経済成長 / 地域格差 / 教育政策 / 高等教育 / 応用一般均衡分析 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目標は以下の3点である。第1に，高等教育の公財政支出が経済成長のみならず地域格差にも与える影響を分析できる全国を北海道，東北，関東，中部，近畿，中国，四国，九州の8地域に分けた理論モデルを構築する。第2に，過去の現実のデータを用いて，これまでの高等教育に対する公財政支出が各地域における教育水準に果たしてきた効果について検証する。第3に，地域ごとに経済成長および格差是正のために望ましい国の高等教育支出の水準をシミュレーションによって導出し，現行の政策に対して提案を行う。
初年度となる平成27年度は，研究の基礎となる理論モデルを構築するため，経済成長，地域格差や高等教育政策に関する文献調査および日本政府が実施している既存の統計調査や実証研究で得られたデータを整理・分類した。本研究によって，所属機関には所蔵されていない図書や学術雑誌にアクセスし，現状および課題を把握することができた。高等教育に対する公財政支出が他のOECD諸国と比べ低い水準にあることから，仮に政府が高等教育支出を増やした場合における，地域経済への影響の差異，そして経済全体に対して与える経済成長への影響について分析するために開発した，人的資本の波及効果を捉えた理論モデルを研究会やセミナーで報告することができた。さらに，マクロ経済学や公共経済学，財政学，教育経済学などを扱う研究会やセミナーで連携研究者を含めた理論モデルの国内外の専門家との意見交換を行ったりして，より日本の経済環境に即し，かつ今後の拡張性の高いモデルを構築することができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の基礎となる理論モデルを構築するために必要な文献とデータを収集し，国内外の専門家との意見交換を行うことで，より現実の日本経済に適し，拡張性の高いモデルを構築することができた。しかしながら，より現実の日本経済に適したモデルを構築するためには，人的資本の波及効果およびその測定方法に課題が残っているため，今後さらにモデルの修正を行う必要がある。
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| Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた結果を基にして，基本的に当初の研究計画どおりに研究を進める。平成28，29年度を通じて，シミュレーション結果をまとめる形で，高等教育に対する公財政支出と経済成長およびその格差に関する論文，および消費税など他の税率の値を変化させた場合における経済成長と教育格差に関する論文を2，3本作成し，現行の政策に対して数値の形で具体的に提言を行う。それとともに，国内外での学会にて報告を行い，研究成果を発信する。最終的には，公共経済学や教育学，シミュレーションの専門雑誌などの海外学術雑誌に投稿する。
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| Causes of Carryover |
平成27年度に計画していた国際学会での成果報告を大学運営業務で辞退しなければならなかったため，その旅費を繰り越した。大学院生1名にデータ収集・入力の研究補助を行ってもらうことを計画していたが，適切なマッチングができず，研究者自身で行った。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度以降海外の学会での報告を予定より1回多く行う予定である。また，平成28年度以降も大学院生1名にデータ収集・入力の研究補助を行ってもらうことができない場合には研究者自身で行うことになるが，その謝金は国際共同研究者に充てる予定である。
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