2017 Fiscal Year Annual Research Report
Behavioral Contract Theory on Incentives and Organizational Structures
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15K03529
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
大洞 公平 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70388354)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 契約理論 / マルチタスク問題 / シグナリング / インセンティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに進めたモデルの改訂を行い、これまでに得られた主要な結果に至る論理を維持しつつ、より簡潔かつ一般的なモデルで同様のことを示した。具体的には、プリンシパル-エージェントモデルで、エージェントが複数(二種類)の職務に従事するスタンダードなマルチタスクモデルを考える。そこで、ある職務(職務1)の成果は立証可能であるが、もう一方の職務(職務2)の成果は立証可能でないと想定する。この状況で、職務2の成果が重要な場合、エージェントによる職務2への努力を引き出すために、プリンシパルは職務1に対するインセンティブを弱くする必要があるということを既存研究の結果は示している。本研究では、職務2の重要性に関して、エージェントがプリンシパルの知りえない私的情報を持つという状況を新たに考える。また、職務2の成果に対して、エージェントだけでなく、プリンシパルも貢献できる可能性があると想定する。つまり、スタンダードなマルチタスクモデルに、立証か不可能な成果を生み出す職務に関して、プリンシパル-エージェントがシグナリング・ゲームを行っている状況を考えていることになる。このモデルを分析することによって、職務2の努力を引き出すために、(情報の非対称性がないベンチマークに比べて)職務1に対するインセンティブをむしろ高くした方がよくなる均衡が存在する、という既存研究では得られていない新たな結果を示すことができた。
この成果は、SIOE(Society for Institutional & Organizational Economics)2017、 ACE(Australian Conference of Economists) 2017、 関西学院大学産業組織論ワークショップ(KGIO)、関西学院大・富山大合同研究会で報告した。
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Research Products
(2 results)