2017 Fiscal Year Annual Research Report
The Effects of Educational and Skill Mismatch on Wages and Job satisfaction
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15K03532
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
玉田 桂子 福岡大学, 経済学部, 教授 (80389337)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ミスマッチ / 賃金 / ジョブマッチング / スキル / 雇用保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、経済協力開発機構加盟国及びそのパートナー国においてスキル(認知能力)のミスマッチが賃金に与える影響を雇用保護の程度と照らし合わせながら分析した。スキルのミスマッチは採用時に労働者も企業も双方の情報を完全に得ることができないために生じる。初職の採用時におけるミスマッチは転職を重ねることによって解消することが可能であるが、雇用の保護が手厚い国においては、転職自体が難しいため、ミスマッチの解消が困難となる。先行研究においては、ミスマッチと雇用の保護との関係を分析したものは研究者の知る限り非常に少ない。 本研究では、経済協力開発機構が行なった成人向け能力テストであるthe Programme for the International Assessment of Adult Competencies (PIAAC)から得られる認知能力のテストや労働者の属性と、アメリカの労働省が作成した職業毎に必要とされる能力やスキルを示したO*netを用いて20カ国の分析を行なった。分析の結果、多くの国でスキルのミスマッチは賃金に影響を与えていないことが示されたが、チェコ共和国、ギリシャ、オランダ、ニュージーランド、ロシアでスキルのミスマッチは賃金にネガティブな影響を与え、チリではスキルのミスマッチは賃金にポシティブの影響を与えることが明らかになった。これらの結果と経済協力開発機構から得られる雇用保護の程度の関係を見ると、雇用保護の程度が高いほどスキルのミスマッチが賃金に与える影響が大きいことが示唆された。以上より、ミスマッチの影響を小さくするためには、雇用の保護を強くすることが良策ではない可能性が示された。
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