2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K03534
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 昌樹 山形大学, 人文学部, 教授 (10375313)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロジェクトファイナンス / メガバンク / multilevel mixed model |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は国際プロジェクトファイナンス市場における邦銀の貸出行動の特徴と国際競争力を示すことを課題としている。本年度はインフラ需要が旺盛なインドネシアと邦銀の主戦場の1つである英国のプロジェクトファイナンス市場を対象として研究を行った。 インドネシアについては2004年から2014年までを研究期間として112のトランシェを含む64件の案件から邦銀の特徴を分析した。分析にさいしては個別行の特徴を析出するためにmultilevel mixed logit modelを使用した。明らかになった特徴は、(1)邦銀は日系企業がスポンサーとなっているプロジェクトに積極的に参加する行動を取っていること、(2)国際協力銀行が参加している案件で邦銀の参加確率が高いこと、が分かった。 英国については2010年から2014年までを研究期間として332のトランシェを含む138件の案件から構成されるデータセットを構築して分析を実施した。邦銀の参加確率に影響を与える要因を検証するためのロジットモデルの推計、さらに説明力の高い要因を析出するための限界効果の算出によって邦銀の貸出行動を分析した。3つの特徴が明らかになった。(1)邦銀が参加する案件のほとんどがポンド建てであること、(2)邦銀はクラブディールを積極的に利用しており、シンジケーションを利用するという一般的な想定とは異なった行動を取っている、(3)プロジェクトの種類が邦銀の参加確率を最も高める要因であること、を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
邦銀のアレンジ案件の特徴を分析することで競争力を明らかにする研究を着実に進めることができた。さらに、研究対象を新興国から先進国へと拡張することによって邦銀の海外展開についてより広く分析することができた。インドネシアについての分析は、 SIBR 2016 Bangkok Conference on Interdisciplinary Business & Economics Research, June 2nd- 3rd, 2016において研究報告を行い、Review of Integrative Business and Economics Research, 5(3)に論文を公刊できた。また、英国についての研究は6th Global Business and Finance Research Conference, 27-29 October, 2016, Taipeiにおいて研究報告を行い、International Review of Research in Emerging Markets and the Global Economy,2(3)に論文を公刊した。さらに、プロジェクトファイナンスのシンジケート構造について分析を手掛けている。こうしたことから研究進捗状況について上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
国際プロジェクトファイナンス市場における邦銀の行動についての分析を進めていく。邦銀のアレンジ案件の特徴について新興国を対象とした分析はタイとインドネシアについて完了し、また、先進国についいては英国の分析が完了してため、最終年度は邦銀が最も活動している米国市場を分析する。 また、シンジケーション構造をネットワーク分析によって明らかにして、邦銀の競争力の源泉を探る課題についても最終年度において分析を完了させ、国際学会での報告、国際ジャーナルでの公刊を予定している。
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Causes of Carryover |
最新の状況を分析するためにデータベースの購入時期を意図的に遅らせたために次年度使用額が生じた。研究の価値とインパクトを高めるための戦略的な使用である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額はデータベースの購入に充てる。
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