2017 Fiscal Year Annual Research Report
International competitiveness of Japanese megabanks in project financing
Project/Area Number |
15K03534
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
山口 昌樹 山形大学, 人文社会科学部, 教授 (10375313)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | プロジェクトファイナンス / シンジケート / 邦銀 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで実施してきたタイ、インドネシアといった新興国のプロジェクトファイナンス市場における邦銀の行動を、米国と英国においても実証分析によって行動の特徴を明らかにした。米国についてはプロビットモデルを用いて、邦銀が参加したプロジェクトファイナンス案件の特徴を分析した。対象とした案件は2013年から2015年にかけて実行された439トランシェである。第一の特徴として、邦銀は規模が大きく融資期間が相対的に長い案件に参加する傾向が認められた。第二に、邦銀が参加した案件のほとんどがドル建てであった。第三に、発電プロジェクトへの参加確率が高いことが分かった。これらの傾向は、リスク管理手法が確立されている発電プロジェクトに参加することによって、積極的にリスクを取りつつも、過剰なリスクを抑制する邦銀の行動が明らかになった。 英国については、プロジェクトファイナンスを実行する際に組成するシンジケートの構造を明らかにすることによって、邦銀の行動について特徴を分析した。2014年に実行された英国でのプロジェクトファイナンスを対象に、ソーシャルネットワーク分析を用いて検証を行った。まず、市場に3つのグループが存在することが近接性の計算から明らかになった。このうち、邦銀は最大のグループに属し、かつ、そのグループにおいて中心的な役割を果たしている。また、このグループ内での関係性は他の2つのグループより強固であった。とりわけ、邦銀同士が繰り返しシンジケートを組成しており、このことが英国における邦銀の競争力の源泉であることが示唆された。
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Research Products
(4 results)