2016 Fiscal Year Research-status Report
企業の内部金融依存化と家計の外部金融依存化:アジア経済統合下のマクロ経済政策
Project/Area Number |
15K03539
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
塩谷 雅弘 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (70340867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高阪 章 関西学院大学, 国際学部, 教授 (00205329)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 家計向け貸出 / 企業向け貸出 / アジア地域の経済統合 / 資本移動 / マクロ経済政策 / 企業金融 / 家計債務 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は以下のことを行った。第1は、アジア地域と欧州地域の企業の内部金融依存化と家計の外部金融依存化の状況を統計データをもとに調査した。統計データは、主に、Bank for International Settlements (BIS)やCEIC社のデータベースから得た貸出先別の貸出額である。地域や時期の違いにより、これら2つの依存化の程度にばらつきがあることを確認した。詳細な結果は、塩谷(2017)でまとめた。第2は、2つの依存化の要因について検討した(交付申請書記載の課題1)。文献調査に加えて、国外からの資本流入による影響を統計的分析により検討した。直接投資など企業に資本が流入した場合、家計の外部金融依存化が強まる傾向が確認された。詳細な結果は国外学会(East Asian Economic Association)で報告(Enya and Shinkai, 2016)し、有益なコメントを得た。第3は、2つの依存化が景気循環などマクロ経済に与える影響について、主に文献調査により検討した(交付申請書記載の課題2)。家計向け貸出と企業向け貸出で、その増加がマクロ経済に与える影響は異なり、家計向け貸出はより景気循環を増幅させ、銀行危機を引き起こすことがより多いと主張する先行研究が多いことを確認した(高阪, 2016)。 研究分担者の高阪とは、同席する研究会やその前後を利用して、適宜打ち合わせの機会を設けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究結果は、適宜、まとめて国内外の学会で報告している。そしてここで得られたコメントを参考にして改善に取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
企業の内部金融依存化と家計の外部金融依存化の要因(交付申請書記載の課題1)については、国内外学会で報告した研究結果をさらに改善させ、今後は学術雑誌への投稿を目指す。また、これら2つの依存化が景気循環などマクロ経済に与える影響(交付申請書記載の課題2)については、これまでの文献調査の結果を踏まえ、統計的分析を行い、結果を研究会や学会で報告し、そして、これについても学術雑誌への投稿を目指す。同時に、これらの知見をもとに、経済統合化が進むアジア地域のマクロ経済政策の検討も行う(交付申請書記載の課題3)。 前年と同様に、研究分担者との打ち合わせは適宜行い、得られた知見は共有する。
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Causes of Carryover |
主な理由は、ノート型パソコンの購入を次年度に変更したことである。その他の理由は、文献調査や学会報告などの研究作業の一部を次年度に変更したことである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度の早い時期に、ノート型パソコンを購入費用として25万円程度を支出する予定である。その他次年度に行うことになった研究作業を行う費用として支出する予定である。主なものは学会報告や情報収集のための旅費である。
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Research Products
(3 results)