2017 Fiscal Year Research-status Report
多期間・多資産モデルにおけるモデルリスク管理方法の研究
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15K03544
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 浩一 九州大学, 経済学研究院, 教授 (30380687)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | モデルリスク / 数理ファイナンス / 金融工学 / リスク管理 / リスク測度 / デリバティブ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はデリバティブのモデルリスク管理に関する研究に重点的に取り組んだ. 1.部分優ヘッジ戦略によるモデルリスク管理:モデルリスクが存在する場合,デリバティブのリスクを完全に排除することは困難であり,完全ヘッジに要する費用は非常に高価なものとなる.この問題を回避するためには,デリバティブのヘッジを現実的に想定される範囲に限定して行う部分優ヘッジ戦略が有効である.現在までの部分優ヘッジ戦略に関する研究成果を整理し,論文("Partial super-hedging of derivatives with model risk," Japan Journal of Industrial and Applied Mathematics)として国際学術誌に発表した. 2.平均分散ヘッジ戦略によるモデルリスク管理:モデルリスクを表現するために複数のモデル候補が存在する状況を仮定し,デリバティブの静的ヘッジ戦略に関する研究を行った.平均二乗ヘッジ誤差の最小化戦略を最適ヘッジ戦略として,デリバティブ単体及びポートフォリオに関するモデルリスクの分析を行った.主な研究成果は以下の通り.(1)最適な静的ヘッジ戦略は,単一モデル(最悪モデル)から解析的に数値計算することができる.(2)最悪モデルは代数的方法で数値的に特定することが可能である.(3)最適な静的ヘッジ戦略は,資産やデリバティブの条件と複雑に関係するため,単純な表現は困難であるが,効率的に数値計算することが可能である. 研究成果は国際会議(QMF2017),国内学会(第48回JAFEE大会)で公表した.また,研究成果の一部を論文("Mean-variance hedging with model risk," International Journal of Financial Engineering)として国際学術誌に発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画に沿って研究を行い,研究成果を国際会議,国際学術誌で公表することができた.
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに研究は順調に進展しており,予定通り,以下の研究に取り組む. 1.多資産デリバティブのモデルリスク管理 2.モデルリスクの多期間リスク測度 3.多期間・多資産ポートフォリオのモデルリスク管理 また,国際共同研究を実施することにより,研究の高度化を目指す.
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Causes of Carryover |
(理由)次年度以降に研究を発展させるために国際共同研究を予定しており,そのための費用として計画的に繰越金額を調整している.本年度は繰越金額を見込んで効率的に予算を活用しており,順調に研究計画を推進し,多くの研究成果を国際会議,国際学術誌で公表することができた. (計画)次年度以降,研究発展のための国際共同研究,情報収集・研究成果発表のための国際会議参加を予定しており,そのために資金を活用する予定である.
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Research Products
(4 results)