2015 Fiscal Year Research-status Report
近年の資産需要構造の変化と貨幣需要関数の安定性の研究
Project/Area Number |
15K03545
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山田 一夫 兵庫県立大学, 会計研究科, 准教授 (80294007)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福重 元嗣 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10208936)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 金融論 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本の貨幣需要関数は、近年その安定性に疑問が持たれている。具体的には、ミッシング・マネーの問題や貨幣乗数の低下の問題である。その背後には、金融技術の進化による家計の資産選択の変化が存在すると考えられる。そこで、本研究では、M1のミッシング・マネーやM2に関する貨幣乗数の大幅な下落等を説明できるような資産選択の変化と、貨幣需要関数の安定性の関係について研究することを目的とする。具体的には以下の6点について検討する。①変数の組み合わせ、②関数型、③データ、④金融資産、⑤貨幣概念。これらを検討することにより、安定した日本の貨幣需要関数を推定し、マクロ経済政策を研究する基礎とすることができる。 本年度は、前述した目的を達成するために、これからの研究の基礎となる日本の貨幣需要関数の推定を行った。利用可能な一般的なマクロデータを使用し、現在主流の貨幣需要関数の推定法である誤差修正モデルを適用して貨幣需要関数の推定を行った。具体的には、データとしては、分析に耐えうる十分な長さの時系列データを得るため、旧「マネーサプライ」の指標である「M2+CD」を用いて分析を行った。また、関数型は実質GDPと短期利子率であるコールレートを使用した。その結果、符号条件は貨幣需要関数として矛盾のない推定を行うことができたが、推定した係数には一部常識では考えられない大きさの係数が推定された。これらが、貨幣需要関数の不安定性を示すものであると考えられる。 また、これからの分析の方向性として、①構造変化を考慮に入れること、②金融資産を変数として考慮すること、③マネーストック統計を利用するためにデータの接続方法を考えること、④貨幣需要関数の変数の組み合わせを考慮すること、を提示することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究の基本とするためのスタンダードな貨幣需要関数の推定を行ったため、当初、予定していた最新の貨幣需要関数のサーベイを詳細に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
金融資産として考慮すべき金融商品を絞り込むためにも、最新のサーベイを充実させたい。また、データの接続を行うために、経済統計の収集にも力を入れたい。
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Causes of Carryover |
予定していた経済統計の収集を実行することができなかったので、ノートパソコンの購入を見送ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度に遂行できなかった経済統計の収集を行い、前年度に引き続いて、資料収集を行う。そのためのパソコンとソフトウェアの購入を行いたい。
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Research Products
(5 results)