2018 Fiscal Year Annual Research Report
Yen's Challenge in Asia: Role as an International Currency
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15K03548
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
清水 順子 学習院大学, 経済学部, 教授 (70377068)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 円の国際化 / 貿易建値通貨 / 基軸通貨 / 為替リスク / セーフティネット / チェンマイイニシアチブ / 流動性供給 / 準備通貨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、今後円がアジアの基軸通貨としての役割を担うとすれば、どのような国際化戦略が必要となるのかを明らかにすることである。最終年度から延長された2018年度は、通貨の役割の中でも準備通貨(価値の貯蔵機能)としての円の可能性に注目し、アジアのセーフティネットという観点から研究を行った。 清水は、ASEAN+日中韓13か国の経済サーベイランスを行っているAMRO(ASEAN+3 Macroeconomic Research, Office, AMRO, 国際機関)で昨年度に引き続き特別研究員として招聘され、中国、韓国、及びタイの研究者とともにアジアのセーフティネットであるチェンマイイニシアチブ(CMIM)において、現在はドル建てで行われる危機時の流動性供給について、円をはじめとするアジア現地通貨の域内貿易取引での利用が高まれば、現地通貨を流動性供給の枠組みに入れる可能性があるかどうかについて共同研究を行った。共同研究は、2018年8月にシンガポールで中間報告を行った後、2019年9月と12月にAMROのタスクフォース会議で報告され、2019年1月に報告書としてAMROのウェブサイトで公表された。 共同研究の中でも清水が担当した"Regional Integration and Use of Local Currencies in the Region"では、円、元をはじめとするアジア通貨の域内での貿易決済利用が徐々に拡大しているという事実を背景として、民間セクターでのアジア現地通貨の流動性に対するニーズが高まっていることが示され、将来的にはCMIMに円や元を利用する可能性があることが確認された。さらに、円については、2018年以降日本政府が積極的にアジア各国と円建ての二国間スワップ協定を締結しており、域内の流動性供給として円が重要な役割を果たす可能性があることが示唆された。
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Research Products
(11 results)