2015 Fiscal Year Research-status Report
銀行破綻による銀行-企業間関係の途絶率と途絶のタイミングについての定量分析
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15K03553
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鯉渕 賢 中央大学, 商学部, 准教授 (60361672)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 銀行破綻 / 途絶率 / 銀行企業間関係 / 大規模企業データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
3年間の研究期間の初年度である2015年度は、米国スタンフォード大学に客員研究員として滞在し、米国の研究者と共に共同研究を実施し、予備的な結果についてまとめたものをスタンフォード大学の研究会で報告した。 本研究課題の目的は、1996年から2014年の18年間の中小企業を含む大規模企業データベースを用いて、この期間に発生した日本の資金市場の供給サイドのイベントが、どのようなタイミングでどのように中小企業を含む顧客企業へ影響したかを量的に把握することである。初年度の研究成果は、このサンプル期間に発生した全ての都市銀行・長期信託銀行・地方銀行の破綻事例について、その銀行破綻を中心とするイベントウィンドウにおいて、顧客企業との関係性の途絶率と途絶のタイミングを計測した。 予備的な結果は、概ね銀行破綻がその破綻時点直後における銀行-企業間関係において、(適切に選択されたコントロールグループと比較して)常に大きな途絶率を銀行破綻後数3年程度にわたって示していることが判明した。しかし、その途絶率の大きさは破綻事例ごとに大きなばらつきがあることも観察され、破綻銀行と顧客企業との銀行破綻以前からの関係性や銀行破綻処理方式の相違などが、銀行-企業間関係の途絶の相違に影響している可能性を示唆するものとなった。 また銀行破綻以外の供給サイドのイベントとして銀行合併や公的資本注入の効果も計測したが、これらについてはそのイベントの近辺で特に大きな途絶率は観察されなかった。 以上が研究機関1年目の主な研究実績であり、研究実施計画に沿って2年目以降の研究を推進して行く予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画期間の初年度において、予備的分析結果を得ることに成功したと判断されるため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は米国の共同研究者と共に、まず銀行破綻のイベントの近辺での途絶率と途絶のタイミングについてのより精緻な推計を実施する。その上で、こうした途絶が顧客企業のパフォーマンスやその企業が立地している地域経済の状況にどのような影響を及ぼしたかを推計する計画である。
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Causes of Carryover |
当該年度の末(2月)に、研究用ノートPCが故障したため、新しいノートPCを購入したが、その支払い関連書類が年度末に間に合わず、やもなく新年度に処理することとなり、この支出に関する期間の祖語が便宜上生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
4月以降に上記ノートPCの代金を請求し、他の支出については概ね当初の使用計画に基づき執行していく予定である。
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