2018 Fiscal Year Research-status Report
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15K03557
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合 (長瀧百合) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 為替相場 / パススルー / 経常収支 / 貿易収支 / コアCPI / TVP-VAR / 金融政策 / 輸入 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず本研究では関税データを用いて為替相場の変化にともなう輸出入価格の変化、数量の変化、所得効果、について分析してきた。2016年度は2008年の金融危機の前後でこれらの数値が変化しているかどうかに特に注目したが、2017年度と2018年度は、それらを従来より多く行われているCampa and Goldberg型のパススルー弾力性をローリングリグレッションをすることで時系列でとらえた。また、TVP-VAR(Time Varying Prameter Variance Auto Regression)によるパススルーの変化についても分析した。結果として、為替相場の日本の輸入価格へのパススルーは1990年代から2000年代にかけて一部低下するものの、金融危機の発生した2008年あたりから影響が大きくなっている産業が多いことを示した。したがって、これまで世界的にパススルーが低下したことが注目されてきたが、近年は上昇に転じていることがわかった。 2018年度の後半は、新たに、為替相場のあたえる金融政策への影響として、為替相場が変化するときに、コアCPIにいかなる影響がみられるかを調べた。具体的には、輸入価格と、名目実効為替相場、国内企業価格指数、コアCPIの4変数のTVP-VARをした。これらは総合指数と、産業別指数の両方を用いた。産業別の値は、日銀のデータに合わせるために、関税データの9桁分類データを用いてウェイトを計算しなおして、あらたに作成した。結果として、為替相場からコアCPIに与える影響は値としては非常に小さいものの、金融危機後は有意であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度の後半から開始したコアCPIを含む分析は、計算も終了し、結果をラフに原稿にまとめるところまできている。あとは、それを完全な原稿にして、学会発表、専門誌に投稿する段取りとなっている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、実証結果をラフにまとめた段階なので、今後、調べたりないところを補足的に調べて追加し、完全原稿にする。その後、8月にAsia Pacific Economic Associationの年次大会で発表し、日本経済学会の秋季大会でも発表し、コメントを基に修正する。修正後、専門誌に投稿する予定である。
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Causes of Carryover |
2015年6月1日にアキレス腱断裂により2カ月休養が必要だったこと、2016年4月~2018年3月まで学科主任となり入試委員と教務委員を兼任し、時間がとれなかったこと、2017年10月31日に実母が脳梗塞になり左手左足に麻痺が残り、介護が必要になったことで、研究が計画よりも遅れてしまいました。現在、成果をまとめ、これから学会発表を経て投稿する予定です。
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Research Products
(4 results)