2019 Fiscal Year Annual Research Report
Factor analysis of Japan's current account movement
Project/Area Number |
15K03557
|
Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
佐々木 百合 (長瀧百合) 明治学院大学, 経済学部, 教授 (10272767)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 裕司 滋賀大学, 経済学部, 教授 (40309737)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 為替相場 / パススルー / コアCPI / 輸入価格 / 企業物価指数 / 金融政策の効果 / 量的緩和 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、外国為替相場が日本の消費者物価に与える影響を調べている。その背景には、アベノミクスをきっかけとした大幅な円安が日本の物価に影響を与えているであろうことが指摘されていること、日銀がインフレーションターゲット政策でインフレ率を2%にすることを目標にしているにも関わらずその達成が難しいことがあげられる。 本研究の特徴は第一に、使用する日銀の輸入物価指数に正確に一致するウェイトを用いた名目実効為替レートと企業価格指数を構築しているところである。これまでの同種の研究は、名目実効為替レートとして日銀が作成している代表的な名目実効為替レートか、あるいは、大まかに産業構成を一致させた名目実効為替レートを用いていたが、本論文では、日銀の輸入物価指数の産業分類と同様に関税輸入データを構成しなおしてウェイトを算出し、より正確な名目実効為替レートを作成している。第二に、推定手法としてTVP-VAR(時変パラメータ自己回帰分析)を用いることで、時間を追ってパラメーターがどのように変化するかをとらえている。第三に、外国為替相場からコアCPIへの直接的影響のみならず輸入価格、国内企業価格といった段階の分析を行い、また産業別の影響を分析しているところである。 主な結果は、2010年くらいからは、わずかではあるが円安のコアCPIへの影響がみられるということである。その影響は外国為替相場の1%の円安に対してわずか0.02%のインフレ率上昇というものだが、例えば2012年には年率でみても25%ほど円が安くなったので、0.02%×25%にあたる0.5%程度のインフレ押上効果があったと考えられる。
|