2017 Fiscal Year Annual Research Report
A study of Japanese export cartels after the WW2
Project/Area Number |
15K03571
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
寺村 泰 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20197809)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 陶磁器産業 / 輸出カルテル / 経済史 / 高度成長期 / 貿易 / カルテル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、陶磁器産業振興協会および陶磁器資料センター所蔵の資料につき引き続き調査を行い、主としてタイル関係の輸出カルテル関係資料について写真撮影等による資料収集を行った。成果についてはとりまとめ中であり、30年度の早い時期に公開する。なお、昨年度脱稿している「戦後北米向け陶磁器輸出における輸出カルテルの実態-1954年のバンブーチャイナ問題を事例として(補筆版)」は、編集者の疾病の影響で未公開のままであるが、本年度は更に改訂を行った。同稿では、従来拙稿において公表済みのバンブーチャイナ問題の経過に加えて、同問題を理解する前提となる1950年代における陶磁器産業の概観と陶磁器輸出の意義についてあらかじめ考察している。そもそも輸出力が不足し、国際収支の天井に悩まされていた当該期において、陶磁器輸出は輸出総額の2~3%を占めていただけではなく、原材料のほとんどが国産であることから外貨手取り率が高く、政策的にも陶磁器産業は重点産業であった。さらに、陶磁器輸出においては、北米と東南アジアが2大輸出地域であり、北米には日本陶器(ノリタケ)をはじめとする少数国内大企業グループが生産する「白素地」ディナーウェアが輸出され、東南アジア地域には美濃や瀬戸に多数存在した中小企業=「窯屋」が生産する「並素地」食器が輸出された。いわば「市場の分割=棲み分け」が事実上成立していた。したがって、これを崩す動きに対しては猛烈な軋轢が生ずることになる。これが、バンブーチャイナ問題の背景にあり、今回の改訂により、いっそうこの点が明確となった。
|