2015 Fiscal Year Research-status Report
21世紀ドイツ社会国家の歴史的位相―戦後連邦共和国における歴史的経緯を踏まえて
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15K03575
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福澤 直樹 名古屋大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10242801)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 社会国家 / ドイツ史 / 第二次大戦後 / 社会的市場経済 / オルド自由主義 / 社会保障 / 福祉国家 / 現代経済史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は第二次世界大戦後のドイツ連邦共和国(旧西ドイツ、統一ドイツ)における社会国家体制の展開のバックグラウンドを理論的に整理することである。理論的整理を必要とする背景の一つが、戦後、ア・ポステリオリに福祉促進的に機能してきたと理解されるドイツの社会国家体制が1990年代以降、従来とは異次元の国際的経済関係の緊密化やEU統合の深化が進む中、外形的に変化を遂げたように見えることである。実際に1990年代以降産業立地としてのドイツの不利がさかんに問題にされ、2000年代以降は左派政権のもとにおいてなお給付削減的な社会給付制度改革が行われた。 つまり社会的進歩の発露の一局面として積極的に評価されてきた社会国家体制に対する見直しが余儀なくされ、こうした中でドイツ現地における学術的な社会国家論の論調も、多面性を帯びるようになったのだが、こうした時代状況の中で生み出された新たな視角を導入しつつ戦後の社会国家体制をあらためて見直すことにより、福祉促進一辺倒というような先入観を排したかたちで社会国家の本質やその展開の論理を明らかにするのが本研究課題の目的である。 それに即して平成27年度はドイツ現地の社会国家体制に関わる諸議論の新たな傾向を一方で捕捉しつつ、同時にそれを踏まえて戦後間もない時期の社会国家を規定した経済情勢と経済秩序のかかわりについての考察を深めた。また、社会国家体制を論じるうえでの一つのキーワードとなる社会経済的「格差」をめぐる近年の議論を追い、さらに議論の幅を広げるべく、現代資本主義を論じる様々な論考や、社会国家(ないし福祉国家)の国際比較についての新たな研究なども渉猟しつつ考察を深めた。 平成27年度については論文や書物のかたちで公刊した業績はまだないが、上記のように本研究課題遂行の基盤となるべき浩瀚な研究文献や資料などの収集に努め、その理解を深めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の想定では初年度においては研究の基盤となる文献や資料、その他各種の統計資料などを早い段階から整備して仮説となる理論モデルを構築し、年度内に政策施行の実態分析やさらなる一次資料の調査を行う計画であったが、実際には本研究課題の補助金受け入れは10月下旬となり、実質的な研究の開始は11月となった。そのため研究文献や資料等の調達がいずれも後ずれして年度末となり、それと関連して、平成27年度に実施する意向であったドイツでの資料調査・収集も年度内に行うことはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当面は基本的に、概ね半年遅れで当初意図していた計画に沿って研究課題を進行させていくことになる。未調達の研究文献・資料(とりわけ時間的に間に合わなかったドイツ現地の諸文献や資料)を平成28年度の比較的早い時期に取り寄せて検討に付し、また準備が整い次第(遅くとも年度上半期のうちに)、平成27年度内に実施する計画であったドイツ現地での一次資料調査およびその収集を行う予定である。 なお今後は常時研究活動の効率化や集中化を図り、徐々に計画の遅れを取り戻いく意向である。
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Causes of Carryover |
本研究課題は、10月下旬の補助金受入れとなり、実質的に11月に開始することとなった。そのため研究文献や資料等の調達が後ずれして年度末となった。それと関連して、本来の計画では平成27年度に実施する予定としていたドイツでの一次資料調査・収集に対する十分な準備を行うことができず、年度内の渡航を見送った。また本来の計画で平成27年度に調達することとしていた研究文献および資料も平成27年度内に完全に揃ったわけではない。以上の理由により、比較的多額の未使用金額を数えるに至ったものである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未調達の研究文献(とりわけ時間的に間に合わなかったドイツ現地の諸文献)や資料の収集のため、平成28年度の比較的早い段階から相当の設備備品費の支出が必要となる見込みである。また準備が整い次第(遅くとも年度上半期のうちに)、ドイツ現地での一次資料調査およびその収集を実施する予定であり、支出のタイミングに若干の遅れはあるものの、平成28年度に送られることとなった費用は、ほぼ予定通りの使途で支出される見込みである。
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Research Products
(1 results)