2018 Fiscal Year Research-status Report
21世紀ドイツ社会国家の歴史的位相―戦後連邦共和国における歴史的経緯を踏まえて
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15K03575
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
福澤 直樹 名古屋大学, 経済学研究科, 教授 (10242801)
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Project Period (FY) |
2015-10-21 – 2020-03-31
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Keywords | 社会国家 / 社会的市場経済 / オルドリベラリズム / ネオリベラリズム / ドイツ / 新自由主義 / 経済秩序 / フライブルク学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二次大戦後ドイツ連邦共和国のオルドリベラリズム/ネオリベラリズムの展開のあり方そのものや戦前から今日に至るまでの時々の社会経済的背景、それをめぐる今日の研究状況や社会国家体制の時々の位相について、原資料や研究文献、また現地でのさまざまな議論を踏まえて考察を深め、その成果の一部を日本の学会のフォーラム研究会、ドイツで行われた国際シンポジウムやワークショップなどで報告した。とりわけフライブルク学派の拠点として知られるフライブルク大学経済学部との研究協力体制を構築し、またオルド自由主義の創設者・ヴァルター・オイケンの名を関したヴァルター・オイケン・インスティテュート(在・フライブルク)ともコンタクトを取りつつ研究を進めてきた。 こうしたドイツ現地での議論からさらに触発されつつ、また国内での福祉社会研究フォーラムなどで指摘を受けつつ、社会国家やオルド(ないしネオ)リベラリズムの根源となる思想についてさらに検討するとともに、その現代性・今日における含意について考究を深めた。とくに冷戦体制下まではまだ相応に説明能力があったとされる一般的数理経済学モデルの限界、また秩序政策や秩序理論というさらなる研究ジャンルとして展開を遂げている秩序経済学の様々なアプローチ、社会的公正や経済倫理、人間の性や文化にまで踏み込んだ新たな観点からの経済分析の流れを追い、さらに近年展開されている「新方法論争」との係わりにおいて、秩序経済学や社会的市場経済ないし社会国家概念の可能性(積極的な役割や必要性)を明らかにしてきた。そしてこれらの所見を学術誌で公表するべく準備を進めてきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在の部局長職を含め、ここ数年間、所属大学の管理的業務を行う職に就いており、5%の研究エフォートもつくり出すことができない状態が続いていた。そのため元来計画していた通りのテンポで研究を進めていくことがかなわなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画は本来、昨年度で研究を終了させるべきところ、昨年度3月(2019年3月)に学術振興会より一年間の研究期間延長のお許しをいただき、2019年度中で研究を完結される予定である。すでに進行し、また口頭発表してきた研究成果をまとめた論考がすでに脱稿直前の状態であり、学術雑誌に投稿する。 本年度も部局長職は継続しているものの、意欲的にさらなる資料調査や現地研究との交流を実施し、議論の範囲を本来計画したレベルまで拡げ、再度の国際学術シンポジウムの開催・報告や学術誌での発表を行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
現在の部局長職を含め、ここ数年間、所属大学の管理的業務を行う職に就いており、5%の研究エフォートもつくり出すことができない状態が続いていた。そのため元来計画していた通りのテンポで研究を進めていくことがかなわず、日本学術振興会より一年間の研究期間延長のお許しをいただいた。本年度も部局長職は継続しているものの、意欲的にさらなる資料調査や現地研究との交流を実施し、議論の展開を本来計画したレベルまで拡げ、再度の国際学術シンポジウムの開催・報告や学術誌での発表を行っていく予定である。2019年度中で研究を完結されるべく助成金は支出される予定である。
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Research Products
(4 results)