2017 Fiscal Year Research-status Report
不足のなかの「消費社会」:ソビエトにおける消費財市場の発展
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15K03577
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤原 克美 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (50304069)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソビエト / 消費社会 / 企業社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年6月15日にサンクトペテルブルクのHigher School of Economicsで開催されたThe Second World Congress of Comparative Economicsにおいて、The Birth of Soviet Jeansというタイトルで報告を行い、本研究の成果について参加者から様々な意見を聞いた。 次に、平成29年9月7日~15日にモスクワへ出張した。ロシア史を専門とする書店のРОССПЭН、зарубежьеや図書館をまわり、必要文献を閲覧・購入し、Fashion Consulting Group(調査会社)とファッション企業BAONを訪問した。また、Levada Centerでは、ソ連時代の消費に関するインタヴューの打ち合わせを行った。この打ち合わせで調査項目を確定し、70歳以上の女性を対象に、9月にモスクワで10件、11月にロストフ・ナ・ドヌーで10件のインタヴューを実施した。インタヴューはLevada Centerの専門家がロシア語で行い、筆者はモスクワについてはYouTubeを通じてオンラインで視聴し、ロストフ・ナ・ドヌーについては現地でガラス越しに観察した。質問項目の修正・追加を随時依頼するとともに、写真提供も受けた。 このインタヴューをもとに、平成29年12月10日に京都大学で行われたカンファレンス、The Future of Transition Economics: Emerging Multinationals and Historical Perspectiveにおいて Differentials and Egalitarianism: From the Case Study of Daily Life in the 1960-1970sというタイトルで報告を行った。論文についても執筆予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請当初の予定では、平成28年度は衣料と家電、平成29年度は自動車と別荘、とアイテムごとに入手の方法を研究する計画であった。しかし、文書館での資料収集は、所蔵フォンドが異なるためにアイテムごとの調査が効率的であるが、インタヴューではこれらのアイテムについて一度にまとめて質問することが効果的であると考えた。そこで、計画では平成28年度に予定していたインタヴューも含めて、「1960~70年代のソビエトにおける都市住民の消費生活の研究」として総合的なインタヴューを平成29年度に実施した。衣料については既に平成28年度に一定の成果を発表していたが、今年度の調査では家電や自動車の入手の可能性と方法について具体的に知ることができた。また、食料・衣類の入手についても追加的な情報が得られた。別荘についてはインタヴューの中で数名が言及したのみであったが、そのかわりソビエト市民の生活における住宅そのものの重要性がフォーカスされた。これらの調査から全体として1960~70年代の消費にまつわる人々の考えや空気をつかむことができ、様々なエピソードから一定の知見を得ることができた。今後の課題としては、得られた知見からの一般化・相対化が残されている。特に、計画当初に設定した「ソビエト独自の企業社会」(日本とは異なる意味での企業中心社会)という仮説の妥当性と部分的修正の必要性が徐々に明らかになってきており、今後さらに議論を精緻化する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度行った報告をもとにConsumption in the Soviet Union during the 1960s and 70s: from the case study of daily life という論文を準備中である。本研究は平成30年度が最終年度にあたるが、具体的に解明すべきテーマとしては資金調達の方法や、消費に対する人々の意識(ヴェブレン的な顕示的消費の有無等)が残されている。9月に実施予定の現地調査では、これらの課題に重点を置いて資料収集や専門家との議論を行う。また、ソビエト時代の研究を行っている他の研究者と共同して海外から研究者を招聘し、平成31年2月に大阪大学で国際シンポジウムを開催する予定である。このシンポジウムでは自身の研究成果を発表すると同時に、関連する分野の専門家と意見交換を行う。 プロジェクト終了にあたり、これまでの口頭発表、論文発表をまとめた成果報告の準備を行う。
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Causes of Carryover |
購入を希望していた書籍の出版が遅れたため。
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Research Products
(6 results)