2016 Fiscal Year Research-status Report
欧州統合史の枠組での近代初頭ヨーロッパ社会経済構造の分析
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15K03578
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
奥西 孝至 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (20211815)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 市場化 / 価値 / 中世末期 / ヨーロッパ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は中世末期から近代初頭(15~17世紀)のヨーロッパ社会経済の特徴を中心地域であった低地地方を軸に欧州統合史の枠組みで再検討することを目的として、平成28年度においては、平成27年度に引き続き中世末期から近代初頭(15~17世紀)のヨーロッパ経済の特徴を低地地方の中心地としての機能と構造の変化の分析を軸に研究を進めた。流通構造および価格の決定メカニズムが異なる穀物、熱帯産品、毛織物、美術品についての低地地方中心都市と他のヨーロッパ諸都市についての資料、文献調査収集と共に、穀物、熱帯産品、手工業品、美術品という財による差異が需要の創出ならびに価格決定に与える影響を先行研究で明らかにされた知見も活用して分析を行った。取引における多言語性については、、平成28年夏の在外研究は大学公務の関係で当初予定より滞在期間を短縮する必要があり、取引における多言語性について商人構成の差異がもたらす各時期の特徴についての古文書館での調査は行うことができなかったため、その前提となる社会の多言語性およびエラスムスに代表される低地地方人文主義者のネットワークに焦点をあてて先行研究に依拠して研究を進めた。また、海外研究協力者との共同研究についても、ワークショップに代わり個別での研究打合せを行い、近代以降のグローバル化との関係に研究の枠組みを拡大して、今後の研究を継続的に発展させることとなり、平成28年10月14日の神戸大学で開かれた国際シンポジウムにおいて、新たな枠組みについての報告を行った。また、平成28年12月10日の日白修好150周年記念シンポジウムにおいて本課題の研究成果をもとにした報告を行った。また、これまでの研究成果の一部を穀物に焦点をあてる形で平成29年にSpringer社より英書にて出版することとなり、そのための原稿作成を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成28年夏の在外研究は大学公務の関係で当初予定より滞在期間を短縮する必要があり、取引における多言語性について商人構成の差異がもたらす各時期の特徴についての古文書館での調査に変えて、先行研究に依拠しながら取引における多言語性の前提となる社会の多言語性およびエラスムスに代表される低地地方人文主義者のネットワークに焦点をあてて研究を進めたため。また、海外研究協力者との共同研究についても、ワークショップに代わり個別での研究打合せを行い、研究の枠組みを拡大して、平成30年以降も継続して共同研究を進めることになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果の一部を穀物に焦点をあてる形で平成29年にSpringer社より英書にて出版するとともに、海外協力研究者との共同研究の枠組みを拡大し、研究対象を近代以降のグローバル化との関係に拡大して、分析する要素に制度・法体系の波及も加えて、平成30年以降も継続して共同研究を進めることにした。
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Causes of Carryover |
本年度の残額が1856円と小さく、必要な図書の購入額に足りなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の物品費と合わせて必要な図書の購入に充てる
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Research Products
(3 results)