2015 Fiscal Year Research-status Report
計画経済下での市場メカニズムの機能と実態:1930年代後期ソ連のコルホーズ市場
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15K03582
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Research Institution | Saitama Gakuen University |
Principal Investigator |
日臺 健雄 埼玉学園大学, 経済経営学部, 准教授 (00633512)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ソ連 / コルホーズ / 農民 / 計画経済 / 市場メカニズム / 集団化 / スターリン体制 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は,史料収集のための出張を1回(9月11日から9月21日:ロシア連邦モスクワ市のロシア連邦国立文書館およびロシア国立図書館)実施し,また文献調査のための出張を3回(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター図書室および北海道大学附属図書館)実施した。 研究業績としては,論文(単著)「On Some Aspects of Soviet Kolkhoz Farmers’ Attitude toward the Stalin Regime」(『埼玉学園大学紀要(経済経営学部篇)』第15号,2015年12月,pp.15-24.)が刊行された。 また,国際学会での発表(単独)(ICCEES IX World Congress 2015, Makuhari, Japan, August 5th, 2015)や,国内学会での発表(単独)(ロシア史研究会2015年度大会,早稲田大学,2015年10月10日)も行った。 上記の研究実績の概要は,以下の通りである。 1920年代末のソ連においては,計画経済の全面化および農業集団化が急速に進展し,その過程で商業取引が大幅に抑制され,配給制の導入もおこなわれた。しかしそれらの動きは長期に継続することはなく,配給制は廃止に向かい,1932年にコルホーズ市場での商業取引が公認された。コルホーズ市場での取引内容を取引データに基づいて分析すると,コルホーズ市場内部での供給量が価格の関数として作用するだけでなく,国営商業での供給量も関数として作用し,コルホーズ市場での価格が国営商業における価格より下回るケースも存在した。また,主食であるパンの供給量も価格の関数として作用したことも示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2015年度には,ロシア現地での史料収集(1回),北海道大学スラブ・ユーラシア研究センターならびに北海道大学附属図書館での文献調査(3回)をおこなった。 研究成果としては,論文(英文・単著)1報,国際学会での発表(単独)1回,国内学会での発表(単独)1回が得られた。 以上の研究遂行情況を踏まえると,「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度には,前年度に引き続いてロシア現地での史料収集,国内大学図書館での文献調査を実施する。その際,首都モスクワだけでなくスヴェルドロフスク州エカテリンブルク市での史料収集も実施する予定である。 研究成果の発表としては,2017年度に刊行予定の著書(分担執筆)1冊,論文(単著)1報の執筆と,国内学会での発表,国内研究会での発表を行う予定である。
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