2016 Fiscal Year Research-status Report
トランス・サイエンス問題への経営学からの応答:原子力発電企業の事例から
Project/Area Number |
15K03606
|
Research Institution | Aomori Public College |
Principal Investigator |
藤沼 司 青森公立大学, 経営経済学部, 准教授 (30387865)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 智子 嘉悦大学, 経営経済学部, 教授 (00449365)
小笠原 英司 明治大学, 経営学部, 名誉教授 (10120891) [Withdrawn]
木全 晃 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (10448350) [Withdrawn]
石井 泰幸 千葉商科大学, サービス創造学部, 教授 (30279872)
高木 俊雄 昭和女子大学, グローバルビジネス学部, 准教授 (80409482)
坂井 恵 千葉商科大学, サービス創造学部, 教授 (80548983)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 経営学 / 言説分析 / 原子力発電企業 / トランス・サイエンス / リスク社会 / 社会的合意形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災および東京電力福島第1原子力発電所事故(以後「福島原発事故」と表記)を契機に、「科学なしでは問えないが、科学だけでは答えられない」トランス・サイエンス問題の存在が強く意識され、専門家と生活者による社会的合意形成の必要性、すなわち「専門家と生活者の協働」の必要性が指摘されている。本研究は、「協働の学としての経営学」の立場から、その具体化に向けて応答していくことを目指している。 本研究では、福島原発事故に見るトランス・サイエンス問題を取り上げ、「多様な専門家や生活者の言説分析」を通じて、経営学の立場から、どのように応答可能であるかを検討する。その際、いかにして「原発は安全・安心であり、推進すべき」という共通観念が社会的に形成・共有され、その方向での人々の実践を促してきたのか、またその共通観念が福島原発事故以降どのように変化していったのか、が論点になる。こうした点を意識しながら、①原子力発電企業の「安全」神話がいかに形成されたのか、②科学的言説が孕む問題性とそれへの応答としてのトランス・サイエンス論の問題、③「専門家と生活者の新たな協働」構築に向けた経営学の応答可能性、を本研究の課題として検討を重ねてきた。 その具体的な研究成果として、本研究メンバーによる文献研究や学会発表等が行われた。さらには、そうした個別の成果発表に加え、本研究メンバーの共著という形にまとめることができた。経営学・会計学の立場から、原子力発電企業を多角的・総合的に検討している点で、非常に意義がある。また共著の執筆過程で理論枠組みや論点の整理が進み、平成28年度には東京電力福島第1原子力発電所での聞き取り調査を効果的に行うことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」でも言及したが、平成28年度に、これまでの研究成果の中間発表を共著『原子力発電企業と事業経営―東日本大震災と福島原発事故から学ぶ―』(文眞堂)として上梓することができた。 交付申請書で示した平成28年度の研究実施計画以上に進展していると言えるので、「(1)当初の計画以上に進展している」と判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進については、交付申請書で示したとおり、本研究の課題(①原子力発電企業の「安全」神話がいかに形成されたのか、②科学的言説が孕む問題性とそれへの応答としてのトランス・サイエンス論の問題、③「専門家と生活者の新たな協働」構築に向けた経営学の応答可能性)のうち、課題③について本格的に検討する。 そうした観点を持って、原子力発電企業に対するアンケート調査や原子力発電企業および各種ステイクホルダーの言説分析を行う予定である。その際、共著では「原子力発電企業の内部組織の記述が弱かった」という課題があるので、どのように接近可能であるかを検討する予定である。 またそれと並行して、論文執筆、学会報告、さらには市民向けのセミナーの企画なども検討する。
|
Causes of Carryover |
本研究成果の中間報告を『原子力発電企業と事業経営―東日本大震災と福島原発事故から学ぶ―』として、本研究メンバーの共著の形で、文眞堂から平成28年度中に出版した。 出版に際して、広く献本を行うことで、研究成果の公表を行っている。献本にかかる費用(献本用買い取り費用および発送費用)の一部として、上記「次年度使用額」を充てることにしている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記「理由」でも述べたが、研究成果を共著としてまとめ、出版した。その際に広く献本を行っており、献本にかかる費用(献本用買い取り費用および発送費用)の一部として、上記「次年度使用額」を充てることにしている。
|
Research Products
(10 results)