2015 Fiscal Year Research-status Report
投資不動産公正価値情報を活用した企業不動産マネジメント支援の方策検討
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15K03614
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
山本 卓 明海大学, 不動産学部, 准教授 (70732866)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 投資不動産会計 / CRE / 財務分析 / 賃貸等不動産 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、進展する不動産会計を背景として、蓄積しつつある投資不動産の時価情報の価値に注目し、それをCREの合理的な意思決定に活用することを目的とする。具体的には、投資不動産公正価値情報の信頼性担保と、当該公正価値情報の活用を前提とした合理的なCREを実現するための方策を検討し、実行可能な具体的提言を行うことを目指すものである。 本年度においては、「投資不動産の公正価値情報を活用してCREに活用する研究」に比重をおいて作業を実施した。研究方法は主に財務データを活用した実証分析が中心となる。分析対象のサンプルは、2010年期及び2011年期のそれぞれのデータを対象に、「全体」、「製造業」、「建設・運輸・倉庫・不動産業」の3つの業種区分に応じた分析を行う。業種区分をした根拠は、「製造業」は賃貸等不動産の保有は本業と直接結びつかない業種であること、「建設・運輸・倉庫・不動産業」は、賃貸等不動産の保有が本業と関連があり企業業績を増進させる可能性があることである。このように、幅広い業種を対象とした実証分析を実施した結果として、「製造業」と「建設・運輸・倉庫・不動産業」とでは顕著な違いが確認された。この分析結果については、研究書及び学会誌論文で公開することができた。 以上の分析に追加して、「不動産業」に絞り込んだ分析も実施した。その結果として、財閥系不動産会社とその他の不動産会社では、投資不動産の保有状況、含み益等が大幅に異なり、二つを一緒に考察することに無理があることが明らかになった。この分析結果については、学会報告で公開することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、財務データを整備し、それに基づいた実証分析を行うことができた。実証分の結果についても、当初予定した検証精度の水準に至ったと考えている。またその結果を、適宜学会報告、学会誌論文刊行、研究書刊行に反映することができた。このような研究の状況から「おおむね順調に進展している」と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に実施した実証分析に基づき、その比較のため海外の投資不動産会計制度に関する調査分析を実施する。具体的には、カナダを中心に英国等の実態についても調査する。カナダを選択した理由として、投資不動産会計制度が開始されて、10年程度を経過し、同制度を取り巻く環境がそれなりに成熟してきていると考えられ、これから本格的に同制度の適用が本格的に見込まれる日本にとって参考となる情報を得られる可能性があるからである。また英国においては、投資不動産会計制度の発祥の国であり、すでに安定した実務慣行が定着してきており、その再検証を行う予定である。 このように2年度目においては、海外調査を中心に行い、初年度目に実施した国内の実証分析結果と総合的な考察を行う予定としている。
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Causes of Carryover |
実証分析のために活用した財務データの購入が、予想した金額よりも安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
翌年度に海外調査が予定されているため、これを充実して行うための経費に充当する予定でいる。
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Research Products
(4 results)