2016 Fiscal Year Research-status Report
ペイアウト政策の構造変化に関する実証分析:日本企業の意識、株主優待に注目して
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15K03618
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
芹田 敏夫 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80226688)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペイアウト政策 / 株主優待制度 / 日本企業 / サーベイ調査 / ETF |
Outline of Annual Research Achievements |
1)自社株買いと配当の代替性に関する研究では、①データセットの整理(配当、自社株買いの財務データ、過去のサーベイ調査データとの結合)、②2017年1月に新たなサーベイ調査を実施して、前回のサーベイ調査結果とデータを統合して整理(財務データとの結合を含む)を行った。整理したデータを用いて、論文作成に向けて必要な実証分析結果を積み重ねた。現時点の主な結果として、日本においては、米国とは異なって配当の重要性が依然として高いこと、自社株買いに対する理解が以前に比べて進んだこと、配当と自社株買いの代替性は低い可能性が高いこと、が示されている。 2)株主優待が株式市場に与える影響に関する研究では、①データセットの整理(株主優待関連データ、優待実施・未実施の全上場企業の財務特性についてのパネルデータセットの作成)、論文作成のための実証分析を行った。その結果、論文(草稿)にまとめられるような基本的結果が得られた。主な結果として、株主優待の実施により、個人投資家の保有割合が高まることにより、資本コストの低下、個別ボラティリティの低下、一方で個別株式急落リスクの増大という、新しく重要な結果が得られた。現在論文にまとめているところである。 3)平成27年度からの追加テーマである、ETFが現物株式市場に与える影響に関する研究では、日銀によるETF買入れ行動のデータを追加してた実証分析分析を行った。主な結果として、ETFによる保有割合が高まるほど、個別銘柄のボラティリティが高ること、日銀によるETF買入れが個別銘柄のボラティリティを低下させる効果があることが明らかになった。この結果をETFが論文にまとめて2016年10月に日本経営財務研究学会において報告を行った。その後、論文の改訂、追加的分析を行っているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年間の計画として、3つの研究テーマについて、データの整理と論文の作成、国内学会報告を行うことにあったのに対して、実際には第3の研究テーマについて論文にまとめて国内学会報告を行うことができ、第1、第2の研究テーマについても主な結果が得られて論文にまとめる目途が立ったため、ほぼ予定通りに進めることができた考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
第3の研究テーマについては、実証分析を進めて、論文にまとめ、国内学会で報告ができたので、さらに追加分析を行いつつ論文の改訂を進め、国際学会での報告を行い、国際雑誌への投稿を進める。 第1と第2の研究テーマについては、実証分析を進めて最終的な結果を導き、論文にまとめる。その後、研究会・国内外の学会等で報告を行い、そこで得られた改善案に応じて追加分析や論文の改訂を進めつつ、雑誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
物品の購入は、1年分の株価関連データに限定したために予算を下回った。旅費については、国際学会報告を2016年度に行わず、2017年度の集中して行うことにするため、使用を控えたために予算を下回った。人件費についても、デー整理のためのアルバイト依頼時間が予定を下回った。その他についても、英語での論文が未作成のため、英文校正の支出をしなかったため、予定を下回った。これら4つの要因により、次年度使用額が生じた。ただし、2016年度使用しなかった金額については、2017年度に集中的に使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である2017年度に、既に作成した論文と作成中の2本の論文について、それぞれ国際学会での報告(2017年7月の報告は採択済み、もう一つは、2017年12月を予定)を行う予定で、そのための旅費に充てる。また、英文校正サービスについても英語での論文の草稿完成に応じて、2017年度に集中して支出する予定である。
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Research Products
(2 results)