2016 Fiscal Year Research-status Report
危機における組織行動と組織間関係を説明する理論的枠組み
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15K03622
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
久原 正治 久留米大学, その他部局等, その他 (00319485)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 危機 / ミクロ基礎 / 組織行動 / 金融危機 / 原発事故 |
Outline of Annual Research Achievements |
課題である危機におけるミクロ基礎を説明する理論的枠組みの樹立に向け、危機をマクロ現象とし、そこでの組織や個人の意思決定や行動をミクロの基礎と位置づける理論的枠組みの検討を進めた。具体的には、これまで社会学の分野でColeman等により提唱されてきたミクロ基礎モデルと、最近になって行動戦略論等の経営学の分野でも提唱されるようになった個人や組織の経営行動をミクロ基礎として捉える立場をレビューし、そこに金融危機と原発事故の二つの大きな危機の事例を当てはめていくことで、危機を説明できる枠組みの研究を進めた。 その研究成果について二つ学会で中間報告を行った。九州大学で開催された証券経済学会九州部会では、金融危機とそこでの金融機関の組織行動をミクロ基礎の枠組みで説明するモデルを提起した。熊本学園大学で開催された日本経営学会九州部会では、危機全般についての個人や組織のミクロ行動について、マクロとミクロを結びつける論理とミクロの基礎の枠組みを提起し、多くの参加者の活発な意見を得ることができた。そこでは本研究の実践的意義が評価され、この研究を更に展開することで今後の成果が期待できるとの主要メンバーからの意見を得た。この結果、これを展開した議論を2017年7月に開催される経営学会全国大会で発表する推薦を得ることができた。 これら二つの中間発表に基づいて、研究ノート「金融危機分析のミクロ基礎」と論文「ミクロの個人や集団の行動に焦点を当てた危機分析の枠組み」をまとめることができた。 この研究発表および論文等で提起した「危機を説明するミクロ基礎」の理論枠組みはこれまでの経営学分野の研究にはあまり見られない新規の内容となっており、さっらに実践的意義もあることから、学会参加者の反応等からもこれまでの本研究の意義と重要性が認められつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内学会での研究者との議論などを通じて、理論的枠組みの確立に向けての作業はおおむね順調に進み、研究中間発表および論文作成を行うことができた。 しかしながら、2016年4月から私立大学の常任の理事に就任し、日常的な大学管理業務に従事することになり、また健康上の理由もあって、海外の学会等に出張し海外の先端の研究者の意見を取り入れることについては、本年度はその実行ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度であり、日本経営学会の全国大会で本理論枠組みを提起し、また英語論文を海外ジャーナルに投稿することを計画しているが、業務の関係で海外学会への長期の出張が難しくなる可能性がある。その場合には、英語論文の投稿で本研究のまとめを行いたい。 なお本研究の一部を銀行の組織行動に関する共著の研究書籍として出版を計画する件については、その後出版社側の採算上の理由により計画が中断しており、今後の出版に向けて出版助成等の申請を検討中である。
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Causes of Carryover |
2016年4月より大学の専任の理事に就任し日常的に管理業務に従事することになったことと、健康上の理由もあり、当初予定していた海外学会出張が不可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であるので、これまでの研究成果につき英語での論文をまとめ、内外の学会で発表するの予定である。
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Research Products
(4 results)