2017 Fiscal Year Annual Research Report
Microfoundation of Crisis Analysis
Project/Area Number |
15K03622
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
久原 正治 久留米大学, その他部局等, その他 (00319485)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 原発事故 / 金融危機 / 組織行動 / 経営組織 / Microfoundation |
Outline of Annual Research Achievements |
これまで筆者が行った金融危機や原発事故などの事例研究から、大きな危機の背景にはその要因となる個別組織の行動や組織間の関係の問題があることが判明している。本研究の目的は、このような知見をベースに、ミクロの組織行動とマクロの危機との関係を解明できる一般性のある理論を提起することにあった。 研究の最終年度である本年は、危機の下にある個別組織の経営者や構成員たちの組織行動、それらの組織行動の集合とそれらの相互作用、そのような組織の問題とマクロの危機とのつながりを分析し、社会学等の先行研究を基に危機のミクロ基礎の理論の構築を図った。具体的には、危機の背景には①危機を引き起こす個別組織などの下位に降りていくマクロからミクロへの移行、②それを構成する個人の行為者の行動とその相互作用、③その相互作用が移行して危機というマクロの結果に結び付くプロセスがあることをモデル化した。 ここで提起した「危機におけるミクロの基礎モデル」と称する理論的枠組みは、経営学におけるミクロ基礎(Microfoundation)の理論と呼べるもので、様々な危機の背後にある問題点の解明とその対応策を考える有用な枠組みと評価することができる。 この研究成果について、2017年9月の日本経営学会全国大会で「公共性と効率性のミスマネジメントから生じる危機を分析するミクロ的基礎の枠組み」のタイトルで発表し、そこでのコメントなども踏まえて、2017年10月ドバイで開催された国際経営ビジネス学会でFramework for Microfoundation of Crisis Analysisのタイトルで発表した。この発表では複数の欧米の研究者からこのモデルが危機の分析に有用な独創的な理論枠組みであり、自然災害等の原因解明にも拡張できるといった評価を得ることができた。これらの発表はそれぞれの学会誌にまとめることができた。
|
Research Products
(5 results)