2017 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical analysis on the impact of shareholder perks
Project/Area Number |
15K03636
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
野瀬 義明 同志社大学, ビジネス研究科, 准教授 (80633966)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 株主優待 / ペイアウト |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度では,株主優待を廃止しその代替手段として増配するとアナウンスした企業の株式パフォーマンスについて検証した.2005年3月から2016年3月までに株主優待の廃止と増配を同時発表した企業について調べたところ,アナウンス時に-1~-2%程度の負の累積超過リターン(CAR)がみられた.CARを被説明変数,優待利回りと増配率を説明変数とした重回帰分析を行ったところ,個人株主の得る優待利回りがCARと有意な負相関を示した.一方で,配当利回りや大口株主の得る優待利回りは有意な相関を示さなかった.加えて,アナウンス直後の決算期に個人株主比率,個人持ち株比率が有意に減少していた. 以上の結果は,配当が金銭価値で同額の株主優待の代替手段とはならないことを示唆する.サンプル企業のほとんどは株主優待を廃止して増配する際,プレスリリースで「株主間の不公平解消」が目的だとしている.株主優待の廃止は,確かに株主間の不公平の解消につながるかもしれない.しかし一方で,その施策が株価には負の影響を与えると判明した. 研究成果は,論文「株主優待が株価にもたらす独自効果」として「証券アナリストジャーナル 2017年10月号(第55巻第10号)」で発表した. 研究期間を通じては上記を含む3編の論文,3件の学会発表を行い,当初の目的であった「企業がなぜ数ある株主還元の中から株主優待を選択するのか?」という命題に対し一歩近づけた.また,まだまだ未解明な点が多い株主優待研究の蓄積にも貢献した.
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