2015 Fiscal Year Research-status Report
被災地の復興における移動起業家の役割とエコシステム
Project/Area Number |
15K03643
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
福嶋 路 東北大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (70292191)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 東日本大震災 / 移動起業家 / 利他性 / ニューオーリンズ / エコシステム |
Outline of Annual Research Achievements |
被災地域の産業復興に「移動起業家」が果たす役割とその行動の特徴、および彼ら・彼女らを活かすエコシステムの特徴を明らかにすることを目的としている。今年度は、3つの活動に取り組んだ。①東日本大震災の被災地での起業状況についての現状調査、②2013年に仙台市経済局、トーマツベンチャーサポートと一緒に行った起業家に対するアンケート調査の整理・分析、③同じく被災地から起業の街に変貌した米国ニューオーリンズの追跡調査、④関連既存文献のレビューである。移動起業家については、文献、インターネットを通じて移動起業家についての情報収集、リスト化を行った。さらに仙台を中心に、市民の起業意識が高まっていることを示す様々な証左を提示した。②震災後起業家に対するアンケート調査から、震災前に起業をした震災前起業家と、震災後に起業した震災後起業家の比較をおこなった。彼らの相違点として、起業動機が利他的であることが強く、また成長志向が高いこと、また希望する視点として起業の方法論のような実務的なものが多いことなどが明らかになった。③のニューオーリンズの追跡調査では、ハリケーン・カトリーナから10年後、起業の主体が、移動起業家から徐々に地元起業家に移行してきていることがデータから明らかになった。この現象は、ニューオーリンズの中に起業を促進するエコシステムが形成されてきたこと、とりわけ市民の起業に対する意識が身近なものに変わったことが大きいと思われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成27年度は別プロジェクトの最終年度が重なったり、学務が増えたりと、科研費申請の頃には想定もできなかった事態に見舞われ、本科研テーマへ十分な時間とエネルギーをかけることができなかった。そのため、平成27年度の計画で想定していた移動起業家へのインタビュー調査が遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は学務が少し軽減されたため、調査活動に避ける時間が増える。平成28年度は、平成27年度に移動起業家のリストを作成したので、それに沿って、インタビュー調査を行う。
|
Causes of Carryover |
他の研究課題が最終年度であり、学務が重くなるなど、申請時に想定できなかった事態に見舞われ、研究時間が削減せざるをえないのに伴い、支出も減った。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、国内調査、海外調査を追加する予定である。特に国内調査については回数を増やすので、国内旅費が増加することになる。また専門的知識に対する謝金支払いや、調査資料の整理に対する謝金支払いも増やす。
|
Research Products
(2 results)