2016 Fiscal Year Research-status Report
特許分析に見るスマートフォン企業の技術戦略とアライアンスネットワークの生成・変化
Project/Area Number |
15K03653
|
Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
陳 韻如 滋賀大学, 経済学部, 准教授 (00389404)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朴 唯新 県立広島大学, 経営情報学部, 准教授 (20435457)
中岡 伊織 宇部工業高等専門学校, 経営情報学科, 准教授 (50469186)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | スマートフォン / 特許分析 / アライアンスネットワーク / 中国ICT企業 / 水平分業 / 垂直統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究計画のうち、分析方法の開発及び、世界スマートフォンベンダーの技術開発の方向性、アライアンスネットワーク構造等の可視化・分析に注力した。 まず、Chen, Park, Nakaoka(2017)は、最近急成長した中国スマートフォン企業に注目し、特許データを用いて中国企業のアライアンスネットワークの存在を浮き彫りにしてみた。中国スマートフォン企業のうち、トップ企業のHuaweiと新興企業のXiaomiの2社を取り上げ、研究開発における事業システム(境界の設定)の分析からそれぞれのアライアンスネットワークの存在を確認することとした。具体的には、社会ネットワーク分析によってスマートフォン関連技術の特許出願状況や開発技術の推移、特許出願者のネットワークの時系列的変遷、コア研究開発者のローテーションの変化(これをコア硬直性の分析指標とした)等を可視化した。上記の項目をもとにHuaweiとXiaomiとの相違点を明らかにしたうえ、Xiaomiは研究組織内での連携が少なく、技術開発の連続性が低いといったことから、Xiaomiの水平分業の事業システムやアライアンスネットワークのパターンを推測した。第二に、実地調査について、2017年2月に陳が台湾のスマートフォン市場における中国企業の進出実態と戦略を調査した。また、資訊工業策進会を再度訪問し、スマートフォン分野での連携、特にIoTをめぐる台湾と中国企業の進出状況、分業ネットワークの実態、政府の戦略などについて情報収集をした。第三に、共同研究者の中岡・朴は2017年3月にマレーシアのUniversity Sains Malaysia(USM)を訪問し、USM教員が主催するテキスト分析のセミナーで研究発表をし、研究内容と方法について意見交換をした。 以上の分析・調査と並行し、理論レビューやデータベースの構築などの作業も引き続き行っている。次の事例研究として、中国の新興スマートフォン企業への調査とデータ分析にも着手している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の研究計画は主として、①引き続きスマートフォンベンダー/部品企業の特許データベースの構築、②世界スマートフォンベンダーの技術開発の方向性、研究開発組織の構造等の可視化、アライアンスネットワークの解明などである。前者のデータベースの構築においては、日本企業だけでなく、中国企業の特許のデータベース化も前倒しして進めていた。後者について、中国企業を中心に分析を行い、インタビュー調査に加え、得られた分析結果と知見をまとめて国際学会で発表した。そのため、研究は順調に推移していると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、①引き続きスマートフォンベンダー/部品企業のアライアンスネットワークを析出する、②アライアンスネットワークについて国際比較をし、ネットワーク間で起きた競争優位の変化のダイナミズムを分析する、といった課題を進める予定である。研究の最終年度であるため、以上の課題をクリアするには、スマートフォンベンダー/部品企業への実地調査を追加して実施し、文献調査や特許分析で得られた知見などと総括したうえ、アライアンスネットワークと競争優位との関係を明らかにしたい。また、総括した研究成果をより積極的に国内外の学会やジャーナルで発信していく予定である。
|
Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、スマートフォン産業の変化が激しく、調査先の選定と交渉が難航し、調査を断念せざるを得ないことがあったためである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の使用計画としては、特許データベースの構築に必要な研究補助者への謝金、研究成果を発表するための学会への参加費用、調査旅費などを予定している。調査は具体的に中国や台湾、韓国のスマートフォンベンダー/部品企業を中心に行う予定である。
|
Research Products
(3 results)