2017 Fiscal Year Annual Research Report
Keiretsu Divergence and Competitive Advantage in the Automotive Industry: Extending the Scope of Empirical Analysis in Time and Space
Project/Area Number |
15K03655
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武石 彰 京都大学, 経済学研究科, 教授 (60303054)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊谷 達弥 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (80183789)
中本 龍市 椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (80616136)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 経営学 / 競争優位 / 系列 / 企業間関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本の自動車産業における自動車メーカーと部品サプライヤーとの取引関係が長期間にわたってどのように変遷してきたのかを辿り、系列取引関係が維持されるものと解消されるものに分化していく要因について実証分析と理論的考察を実施し、「系列取引関係と競争優位の関係」(より広くは「企業間関係と経済合理性の関係」、「組織と市場の関係」)について新たな学術的知見を導出することを目指すものである。 とくに、従来の研究が充分な注意を払ってこなかった「企業間関係を時間的・空間的な広がりの中で分析・理解する」という視座を基本におき、部品取引に関する長期のパネルデータ(約200品目の部品に関する1984年から2016年までの部品取引実績)を整備し、個別事例に関する定性的分析も進めながら、実証分析と理論的考察を進めた。 この結果、「内向的(取引が系列関係に限定される)系列取引関係」は競争優位を維持できずに解消されていくのに対して、「外向的(系列サプライヤーが系列外自動車メーカーへ取引を拡大していく)系列取引関係」は競争優位を維持し、存続する可能性を持っていることを実証的に明らかにし、この分析の理論的基盤として浅沼(1989、1990、1994)が提示した「関係的技能の表層と基盤層」という枠組みが援用できることを示唆する研究成果を発表した。 この成果を内外の学会等で報告し、コメントや評価を受けるとともに、関連研究を行っている研究者を招いて、この成果について議論を行う機会を設け、本研究の学術的意味合いについて検討し、さらなる今後の実証分析、理論的考察に向けての研究課題の抽出を行った。
|