2017 Fiscal Year Research-status Report
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15K03657
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原 拓志 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (60252756)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 安全 / 製品開発 / 自動運転 / IoT / 技術の社会的形成 / 組織間関係 / MAISアプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は本研究の分析フレームワークであるMAISアプローチを理論的に構築し、それに関する論文を『国民経済雑誌』第217巻第3号で公刊した(2018年3月)。また、2017年5月17日には神戸大学経営学研究科における商学経営学研究会において、MAISアプローチについての研究報告を行い意見交換を行った。 調査については平成28年度に引き続きDT社(元FT社)の複数幹部の人から自動運転に関する動向や取り組みの実状について情報を得たほか、年度内に起こった新幹線台車の事故を受けて新幹線をはじめとする車両開発の実態や課題についてK社の人から情報を集めた。また、製品安全や自動運転などに関する文献を渉猟したり、名古屋にあるJR東海のリニア・鉄道館、トヨタ博物館などを訪問したりして安全な製品づくりのための取り組みの歴史に関する情報の収集にも努めた。現在はこれらの情報をまとめてMAISアプローチで分析する準備を進めている。今後の国際学会等での報告や国際的学術誌への投稿のために英語論文の執筆にも着手した。 またAIやIoTの時代における技術経営の教科書として中央経済社から『ベーシックプラス技術経営』を神戸大学大学院経営学研究科の宮尾学准教授らとともに著し(私は4つの章を執筆)宮尾氏と私との編集で2017年9月に公刊した。また、こうした動向を踏まえた工業経営研究のあり方についての論文を大幅に加筆修正したうえで、風間信隆・廣瀬幹好編著『変革期のモノづくり革新』(中央経済社)に「日本の工業経営の課題」と題して1章を執筆した(書誌情報は研究発表に記載)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の分析フレームワークであるMAISアプローチを理論的に確立し研究会で報告するとともに論文の公刊もできた。来年度はさらに主要な国際学会(4S)での報告をする予定であるが、すでにプロポーザルは受理され、国際的発信も確実である。しかも、その報告では、日本における鉄道車両という製品開発の安全について、組織間関係(車両会社、鉄道会社、その他)を踏まえた内容にする予定で、その基礎となる情報もおおむね獲得できている。 自動運転と製品安全についても、かなりの情報は収集できており、今年度中にはMAISアプローチによる分析もできる見込みである。医薬品産業の方も情報収集が進んでおり、平成31年度も含めた期間内には、これらの産業別分析及び産業間比較分析を実現できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は引き続き経験的研究を進める。鉄道車両産業、自動運転関連産業、医薬品産業について引き続き安全な製品開発マネジメントに関する情報収集を進め、それらの産業における事例をMAISアプローチを使って分析する。さらに産業間の共通点や相違点の抽出および企業間の共通点と相違点の抽出(複数企業のデータが同等にできた場合)を比較事例分析から図る。平成31年度においては、以上の取り組みを通して、製品開発における安全形成のプロセスやマネジメントの現実、変遷、課題、制約条件、促進条件などを明らかにしていく。 これらの研究成果について、平成30年度は8月末にオーストラリア、シドニーで開催される4S(国際的な科学技術社会研究学会)の大会で報告する(受理済)。今年度はさらに国内学術誌または図書での研究発表も行う。さらに平成31年度にかけて国際的な学会誌への投稿を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)端数として生じた。
(使用計画)物品費に合算して次年度以降に使用する計画である。
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Research Products
(3 results)