2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of multi agent simulation on innovation dilemma
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15K03658
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
野間口 隆郎 和歌山大学, 経済学部, 教授 (00609745)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | マルチ・エージェント・シミュレーション / 共分散構造分析 / イノベーションのジレンマ / 戦略的行動 / アントレプレナー / 地域再生 / 産業クラスター / イノベーションの普及 |
Outline of Annual Research Achievements |
経営戦略論におけるイノベーションの普及に関する理論において、大企業は革新的な技術や製品の登場に対して、その市場におけるインパクトを軽視し、既存製品への依存から取り入れることに遅れることをイノベーションのジレンマと呼ぶ。イノベーションのジレンマ に陥り衰退する産業が我が国にも多数存在している。それらの産業の中でもジレンマにとらわれずに再生に成功する企業もわずかであるが存在する。それらの現象をマルチ・エージェント・シミュレーションで再現し、その実験結果からイノベーションのジレンマに対応するための戦略的行動についての示唆を得ている。その結果をデータから実証するため、日本の繊維産業におけるイノベーションのジレンマに関してアンケート調査を行い、共分散構造分析をおこなった。繊維産業は日本では自動車やハイテク製品を輸出するために 輸入する見捨てられた産業とみなされているが、その中でもジレンマを克服し再生する企業が多数ある。そのような産業の背景の中で もイノベーションを起こす原因について統計的に有意なパス解析モデルが提示できた。繊維産業についてはネットワーク分析も実施している。その結果もイノベーションのジレンマを克服する産業の条件としての産業クラスターの在り方について示唆を提示できている 。 また、その結果も踏まえた上で、日本の醤油産業におけるイノベーションのジレンマに関してもアンケート調査をおこなった。その結果は繊維産業とほぼ同じ構造のものである。ただし、醤油産業の方が伝統の味の保存により新技術を採用しないインセンティブが働くと考えられる。
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