2016 Fiscal Year Research-status Report
ビジネスパーソンの創造性と人事評価との関係性に関する研究
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15K03664
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
開本 浩矢 兵庫県立大学, 経営学部, 教授 (90275298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
厨子 直之 和歌山大学, 経済学部, 准教授 (40452536)
井川 浩輔 琉球大学, 観光産業科学部, 准教授 (80433093)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 創造性 / 人事考課 / 人事制度 / 組織学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトの2年目を迎える今年度は、創造性の評価に焦点を当てた文献レビューを中心に行った。現状では、日本語の文献が稀なため、多くは欧米の研究に関するレビューとなった。具体的には、欧米の企業組織では、創造性を発揮する従業員が必ずしも肯定的な評価を受けるわけではないことがいくつかの実証研究(Lynne C. Vincent and Maryam Kouchaki,Creative, Rare, Entitled, and Dishonest: How Commonality of Creativity in One’s Group Decreases an Individual’s Entitlement and Dishonesty,ACAD MANAGE J.,2016, pp.1451-1473など)で示されていることが明らかになった。また、創造性を発揮する従業員を否定的にとらえる傾向にある職場は、創造性発揮の機会が相対的に少ない職場であり、日常的に創造性発揮の場面に遭遇しない職場であることが示唆された。こうした創造性の相対的に稀な職場においては、人事評価を行うミドル・マネジャーの創造性評価に対する免疫ができていないため、創造性を発揮した部下を肯定的に評価できないと推察される。一般的には創造性の発揮は肯定的に評価されるものだと理解されているが、職場やミドル・マネジャーの創造性に対する免疫力次第によっては、むしろ否定的に評価される可能性があることは次年度以降の実証分析に有益な示唆を与えるものである。こうした人事考課に影響を与える環境要因については次年度以降に構築する実証分析のモデルに適宜取り入れることでより妥当性・説明力の高いモデルにすることが必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第2年度に当たる、今年度は文献レビューを中心に研究計画を着実に遂行できた。とくに人事考課や評価と創造性発揮との関連性については多くの示唆を得られる文献レビューが行えたと判断している。ここで得られた知見をもとに次年度以降の実証分析モデルの構築を精力的に行っていきたいと考える。また、人事考課や評価といったキーワード以外にもソーシャルサポートや組織コミットメント、人事制度の複雑性など、実証分析のフレームワーク構築にあたって必要ないくつかの概念の整理や分析を行えたことから、おおむね順調に進展していると判断するに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は三年目となるため、今年度までの研究蓄積をもとに創造性発揮と人事考課との関連性に関する分析モデルを構築したいと考える。分析モデル構築にあたって、創造性発揮を促進するであろう要因を先行変数として投入することに加え、職場や人事考課者の特性といった環境要因に関する変数を取り込むことを計画している。 くわえて、仮説的な分析モデルの構築後に可能な規模でのパイロット調背を行いたいと考えている。その結果を踏まえて、本格的な実証分析に耐えうる分析モデルとしたい。 同時に、実証分析に当たってデータ収集先との調整を図り、最終年度の分析結果の提示につなげたいと考える。
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Causes of Carryover |
企業への訪問調査に伴う旅費の支出が当初の見込みよりも少額となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度は、海外企業の調査を含め、精力的に訪問調査を行う予定である。したがって、今年度当初配分の旅費とあわせて着実に執行する計画となっている。
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