2015 Fiscal Year Research-status Report
オープン化時代の研究開発・製品開発に関する継続調査III
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15K03674
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (60286622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 研究開発 / オープン・イノベーション / アンケート / 時系列分析 / オープン・データ / 低線量被曝 / エジプト |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者らは,2007年から日本企業を対象に,研究開発や製品開発についての調査を行ってきた。これまでは上場企業を対象として、毎年二つの調査を行ってきた。本年度からは、非上場企業も対象として、2つの調査を隔年で交互に行うこととした。2015年度は「研究開発についての調査」を行った。同年11月に907社(上場企業429社、非上場企業478社)に調査票を送付し、247社(上場企業92社、非上場企業155社)から回答を得た。2007年からの9年間でトレンド変数が有意となったのは312項目中40項目であった。これら項目から,「研究開発の高度化」「ユーザーへの評価,対応の低下」「研究開発のオープン化の停滞と限界」「職務報酬の低下」「海外でのR&Dの自律化と成果向上」「技術や品質の強化の一方での開発スピードの低下」など,研究開発が困難になっていることがわかった。一方で,「トップによる方向性の明示や,信頼や公正さなど組織文化の強化」が進行していることも明らかとなった。2015年度は「国や政府、地方自治体は科学技術振興のために各種の政策」への参加状況も質問したが、全般的に利用されておらず、特に非上場企業ではその傾向が強いことがわかった。 この他、オープン・データを利用して以下の分析を行った。世界銀行企業データを利用して、エジプトにおけるイノベーションの規定要因について分析した。R&D支出、従業員へのR&Dトレーニングは正で有意な影響を与えるが、トップマネジャーの教育水準、女性の進出はイノベーションの発生に影響を与えないことがわかった。 前年に引き続き、福島県の甲状腺調査の市町村レベルの分析を行った。その後の検査結果も踏まえて、分析を行ったが、これまでの分析同様、市町村別の平均被曝量と結節には正で有意な相関がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
継続調査を行い、これまでと同様の成果が得られている。今年度はさらに世界銀行のデータという新しいデータソースも見いだし、分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究開発に関する調査を行ったが、2016年度は製品開発についての調査を実施する。2015年度と同様、上場企業とあわせて非上場企業に対しても調査を行う予定である。 オープン・データを利用した分析に関して、2015年度はエジプトのみを対象に分析した。同データは100ヵ国近くの途上国について収集、公開されており、2016年度以降、より多くの国を対象として、文化や経済状況も踏まえた分析を行う予定である。 低線量被曝については、福島県における甲状腺調査の、二巡目の結果が公開されつつある。これまでの一巡目のデータとあわせて分析する。米国の原子力施設従業員のデータについても、個人レベルのモデルを適用した分析を進める。
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