2017 Fiscal Year Research-status Report
オープン化時代の研究開発・製品開発に関する継続調査III
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15K03674
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
濱岡 豊 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (60286622)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 研究開発 / 製品開発 / イノベーション / オープン・イノベーション / ビジネス・エコシステム / 継続的アンケート調査 / オープン・データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は「研究開発に関する調査」を行った。770社(上場企業350社、非上場企業420社)に調査票を送付し、204社(上場企業89社、非上場企業115社)から回答を得た。2007年からの11年間(10回の調査)でトレンド変数が有意となったのは323項目中56項目であった。これら項目から、「研究開発の高度化」「ユーザーへの評価、対応の低下」「研究開発のオープン化の停滞と限界」「職務報酬の低下」「海外でのR&Dの自律化と成果向上」「技術や品質の強化の一方での開発スピードの低下」など、研究開発が困難になっているといえる。一方で、「トップによる方向性の明示や、信頼や公正さなど組織文化の強化」が進行している。 本年度は自社だけでなく他社との共生を目指す「エコシステム」についても質問したが、自社独自のプラットフォーム設立、他社への提供、他社設立のプラットフォームの利用とも進んでいないことがわかった。「ビジネスの補完性」「プラットフォームの構築・提供」「他社のプラットフォームの利用」の規定要因を分析した結果、「食品(業界)」は、自社ではなく他社のプラットフォームを利用して補完性を高める傾向があること、「石油(業界)」は、エコシステムを形成しにくいこと、大企業の方がエコシステムに組み込まれていることがわかった。 オープン・データの活用・実践という観点から、50ヵ国を対象として行われている世界価値観データ、世界銀行のイノベーション調査の分析を行い、世界各国の消費者のメディアとの接触、アフリカなどの途上国でのイノベーションの実態把握と規定要因の分析を行った。さらに、福島県における甲状腺検査の市町村レベルのデータを用いた分析も行い、2巡目の結果については甲状腺がんの発見率と被曝量には有意な相関があることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
オープン・データとして、途上国を対象とした World Bank Enterprise Survey(Innovation Survey)を用いることによって、Bottom of pyramid諸国におけるイノベーションの実態や規定要因に関する分析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
「研究開発に関する調査」と「製品開発に関する調査」を交互に行っているため、2018年度は「製品開発に関する調査」を実施する。2016年同様、上場企業だけでなく、非上場企業も含めて調査を行う。4年間の最後であるため、この間の知見もとりまとめる予定である。
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