2015 Fiscal Year Research-status Report
後発企業効果に関する長期的事例研究─革新的企業者活動をめぐる資源ベース分析─
Project/Area Number |
15K03679
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久保 文克 中央大学, 商学部, 教授 (00256017)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 後発企業効果 / トップ逆転 / キャッチアップ / 後発性のデメリット / 4つの壁 / 後発性のメリット / 短期パターン / 長期パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
後発企業効果に関するマクロ分析を実施した平成24年度科学研究費基盤研究(C)の成果を踏まえ、今後の具体的事例研究に向けた分析フレームワークを構築する論文を公刊した。 なかでも重要となった事実発見として、停滞期を除外してカウントするとき、63市場68業種のうち実に55業種が10年以下の短期間で後発企業効果を発揮したという点であることから、技術力、経営資源(技術者・販路・資金)、消費者、ブランドの4つの壁=後発性のデメリットをいかに克服できるかが重要なポイントとなる。 あわせて、後発性のメリットをいかに内部化したかも重要となるが、10年以下の短期パターンにおいては4つの壁が低いなか市場参入を果たした事例が注目される。 こうした点からは、ベンチャー企業のような後発企業ではなく、技術力やブランド力を持つ既存の大企業が新規市場に参入したケースがまずは注目される。そこで、既存大企業の多角化パターンとして、味の素の風味調味料市場における成功事例を分析した。 研究計画においては、例外性・独自性を重んじる経営史研究の観点から、トップ逆転まで11年以上を要した長期パターンの9市場からスタートするはずであった。 事実、長期パターンであるウスターソース市場のオタフクソースに関しても分析を進めているところであるが、長・短期パターンの違いをもたらした分水嶺とは何かという点からも、短期パターンとの比較を試みることが有効と考えるに至り、初年度においてあえて短期パターンの味の素との比較分析を試みた次第である。比較分析を重んじる経営史分析ならではの展開とも言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の後発企業効果とも一部関係するが、単著『近代製糖業の経営史的研究』(文眞堂、2016年)を4月末に公刊するための準備に多くの時間を要したため、本研究の進捗が計画よりもやや遅れる結果となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述した単著校正作業がすべて完了したことから、今後は順調に進捗していくものと考えており、初年度における遅れを取り戻していきたい。
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Causes of Carryover |
事例研究に不可欠となる社史が相次いで古書市場に出回ったため、PCよりも社史購入を優先させた次第である。 また、購入予定であったPCより分析パフォーマンスのすぐれた最新モデルが発売されるとの情報を入手したことも、初年度においては社史購入を優先させ、次年度に予算を繰り越すことで、PCをあえて購入しなかった理由である。 なお、大学院生バイトによる資料収集については、当初予定していた以上に上述した有益な社史を購入することができ、その社史に収録されている資料によって、当面の事例研究が可能となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
社史購入については、当初の計画よりも次年度においては大幅に減らすことができ、その分次年度においてPCの最新モデルが発売され次第購入したいと考えている。 また、大学院生バイトについては、資料収集及びデータ処理も研究者本人によって可能となりつつあることから、事例研究の対象となる企業ヒアリングを充実させるための旅費等に充当したいと考えている。
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