2016 Fiscal Year Research-status Report
後発企業効果に関する長期的事例研究─革新的企業者活動をめぐる資源ベース分析─
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15K03679
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
久保 文克 中央大学, 商学部, 教授 (00256017)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 後発企業効果 / キャッチアップ / トップ逆転 / 後発の壁 / 短期パターン / 長期パターン / 停滞期 / 革新的企業者活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
食品産業8市場に、対象業種を絞り込むこととした。その理由は、後述する進捗状況の遅れもさることながら、当該業界の特性によるものである。すなわち、耐久消費財などとは異なり、食品は消費者が繰り返し購入可能な商品であるという市場特性を有しており、それだけに日々新商品を各社投入し、企業間競争は激烈なものとなっている。そうした中、後発企業効果という劇的な逆転劇が起き、市場全体が活性化させる事例が、医薬品業についで多く確認された食品業界は、後発企業効果研究の対象として、最も重要なものの1つと言えるからに他ならない。 こうした対象絞り込みにより、長期パターン、短期パターン両者の比較を念頭に、後発のデメリット=後発の壁をいかに克服していったのかを、8つの市場に関して分析を加えつつある。その際、短期パターンはリソース豊富な大企業の多角化パターンと言い換えることができることが、風味調味料の味の素、即席麺のサンヨー食品、缶コーヒーの日本コカ・コーラの事例を通して明らかとなった。技術者をはじめとした人材や資金力に加え、すでに有する企業ブランドと自社の販売ルートをフル活用したことが、短期に逆転を可能とした最大のポイントであった。と同時に、先発企業商品を徹底的にベンチマークし、それとの差別化を図ったことも見逃してはならない。 一方、ウスターソース類のオタフクソースに代表される長期パターンについては、短期パターン企業とは対象的に、リソース、ブランド、消費者の壁が立ちはだかった。オタフクソースの場合、先発企業のブランドの壁や味覚への固定観念という消費者の壁を克服するため、スーパーをはじめとした実演販売やお好み焼き屋オープンへの支援活動といった地道な活動を通して、時間をかけて商品の魅力を浸透させていったことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2つの理由により、当初の予定より進捗が遅れ気味である。 1つが、昨年6月に刊行された単著の6回にわたる校正作業である。もう1つが、昨年10月に中央大学で開催された第52回経営史学会全国大会(今回は国際学会を併設)、その事務局長として約半年忙殺されたことである。 そこで、上述した食品産業8市場に対象業種を絞り込むという現実的対応策によって、有益な分析結果を得られるよう軌道修正を試みた次第である。なお、当該業界の分析を完了した暁には、13と最も対象市場の多い医薬品業界へと対象を広げていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
食品産業8市場への対象絞り込みにより、残された1年より当該業界の後発企業効果に関し、長期パターン、短期パターン両者の比較を念頭に、後発のデメリット=後発の壁をいかに克服していったのかを、8つの市場に関して引き続き分析を加えていきたい。 その際、すでに明らかになりつつある短期パターン=リソース豊富な多角化パターンとの認識のもと、風味調味料の味の素、即席麺のサンヨー食品、缶コーヒーの日本コカ・コーラの事例を通して、短期パターン企業にとっての後発のデメリットとは何だったのか。豊富なリソースを持ってどのように克服していったのか。これら2点について、特に分析を加えていきたい。 一方、ウスターソース類のオタフクソースに代表される長期パターンいついては、同じ長期パターンの中でも、ビスケット類のブルボン、発酵乳の明治乳業、味噌のマルコメ味噌という3つの事例が長期の停滞期を経たのち、短期間でキャッチアップを実現している点は注目に値する。なぜ長期の停滞期を迎えるに至ったのか。その停滞期を脱することができた要因は何だったのか。その要因は短期パターンの要因と同じものなのか。こうしたリサーチクエッチョンに答えるべく、さらなる分析を深めていきたい。
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Causes of Carryover |
期待していた以上に、古書市場に重要かつ高額な社史が出回ったため、多くの予算を充当するととなった。その結果、待ち望んでいたノートPCが昨年末に発売されたが、年度予算では購入できなくなっため、残額を次年度に繰り越すことで、立て替え分に充当したい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上述したノートPCにまずは充当し、残りをヒアリング及び研究成果を取りまとめるために使用したい。
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Research Products
(3 results)