2015 Fiscal Year Research-status Report
新興国ビジネスにおける境界連結者の役割―制度ベース戦略論の視点から―
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15K03680
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
丹沢 安治 中央大学, その他の研究科, 教授 (00146953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新興国ビジネス / 境界連結者 / ASEAN / ASEAN経済共同体 / 地域統括組織 / フィリッピン / 日系自動車産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は、「新興国ビジネスにおける境界連結者の役割」という本研究テーマから、地域としてはASEANに絞って研究・調査を行った。研究・調査は、特に三つの研究の柱、(1)理論的な枠組みを形成するための文献研究、(2)国内外において行ったインタビュー調査、(3)暫定的な研究報告を中心とした。 (1)理論研究としては、月例の研究会を企画したが、特に丹沢が担当したWeber, Libby and Kyle Mayer (2014), "Transaction Cost Economics and the Cognitive Perspective,"AMR,Vol.39,No. 3 (July),および"Moving Opportunism to the back seat: Bounded Rationality, AMR,Vol. 41, No.1 (January), の検討から、文化的な背景、認知枠組みの相違を架橋する境界連結者の機能について深く検討した。また、境界連結者の概念について先行研究の実績を持つ研究者との意見交換を行った。 (2)インタビュー調査は、ASEANにおける生産・販売拠点と日本本国にある本社との間の地域統括組織の機能をめぐって、国内、国内(WEB)、現地でのインタビューを行った。国内でのインタビューは、電通、NCネットワーク(2回)、台湾市コンピュータ協会(日本事務所)など5回、WEBを通じたインタビューとして、シンガポールのIHI,伊勢丹三越、野村総研、JETROなど3回、3回の現地調査によるインタビューとしてシンガポールにおけるJETRO,野村総研、凸版、IHI,東芝、味の素、そしてタイにおけるタイJETRO,タイ日産、タイ味の素、タイヤクルト、タイグリコ、バンコクコマツなど12回のインタビューを重ねた。 (3)暫定的な研究報告としては、2015年12月25(金)、国際戦略経営研究学会・理論・実践研究部会にて、報告テーマ:「ASEANにおける地域統括組織をめぐる新興国ビジネス戦略ーグループ内企業ガバナンスの視点からー」として報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理論的な文献のレビューから、新興国ビジネスにおいて有力と思われる分析用具に関するイメージができた。また、インタビューを重ねたたことで、研究テーマに沿った対象・領域もほぼ確定した。暫定的とはいえ、研究報告を行い、また、関連するテーマで2本の論文を投稿・寄稿したことから、研究計画の基礎は固められたと評価している。 しかし、定性的なデータを利用する仮説発見型の研究手法の確立に時間を取られたため、成果は、定性的なデータに基づく仮説発見型の研究に限られた。報告の英文化とその後に予定している定量的な手法を用いた仮説検証型の論文については、暫定的な研究報告をベースとして、予定してる連携研究者との簡単な打ち合わせをしている段階であり、28年度の課題となった。
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Strategy for Future Research Activity |
28年度は、理論的な文献のレビューを継続し、分析枠組みをさらに堅固なものとしながら、的を絞ったインタビューを重ねるとともに、定性的なデータを用いた仮説発見型の論文を完成し、学術誌に投稿したい。 また、仮説検証型の論文を連携研究者とのコミュニケーションを密にして詰めていきたい。さらに、研究の内容と進行状況を詳細に紹介するホームページの作成も試みてみたい。
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Causes of Carryover |
今年度の「次年度使用額」は、調査結果の文字起こし、ホームページ作成など執行次期の選択によって生じた端数であると考えている。したがって、次年度も計画通り研究を進めていきたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
5月から6月にかけて、文字起こしとホームページ作成にかかわる計画を執行する。また、ASEANにおけるインタビュー調査をさらに深めるとともに、仮説検証型の研究論文の作成に取り掛かる。
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Research Products
(2 results)