2016 Fiscal Year Research-status Report
新興国ビジネスにおける境界連結者の役割―制度ベース戦略論の視点から―
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15K03680
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
丹沢 安治 中央大学, 戦略経営研究科, 教授 (00146953)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 制度の発生 / 新興国ビジネス / 境界連結者 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は、特に制度発生にかかわる理論的研究と国内でのインタビュー、ベトナムでの調査に注力した。5月31日(火)にはプロジェクト主査である丹沢がキヤノン電子(株)常務取締役A氏にインタビューを行った。氏は、かつてベトナムにおけるキヤノン株式会社の生産拠点の経営者であり、丹沢は、氏を境界連結者として本社のグローバル戦略と現地経営の意図との関係について尋ねた。7月13日(水)には、制度研究者であるB氏を招いてダグラス・ノース『制度原論』をめぐって合評会を企画した。 10月30日(日)~11月5日(土)ベトナム調査を行った。訪問企業は、三菱東京UFJ銀行ホーチミン支店、Navigos Group Ltd.、JETROホーチミン事務所、INTAGE VIETNAM LIMITED LIABILITY COMPANY、I-GLOCAL CO., LTD. 、ブラザー・インダストリーズ・サイゴン、東芝産業機器アジア社、ベトナムヤクルト、カヤバ・ベトナム、イデ・インターナショナル(ホアマック工業団地、ハノイ日本商工会であった。 12月23日(金)国際戦略経営研究学会戦略経営理論・実践研究部会において、「在ベトナム日系企業は今現場で何を考えているか―調査報告」と題し、報告した。1月23日(月)には、C 氏を招き、Engestrom, Y. "Wildfire Activities: New Patterns of Mobility and Learning," をベースとして報告していただき、制度の自然発生にかんする議論を行った。また、丹沢安治(2016)「フィリピンにおける日系自動車メーカーの新興国ビジネス戦略」、丹沢安治(2016)「グローバル化時代の日本の中小製造業者における受注戦略」『現代経営戦略の軌跡』高橋宏幸、加治敏雄、丹沢安治編著、中央大学出版部、p.143-166を公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
制度発生にかかわる理論的研究は現在も継続しているが、一応の成果を一昨年すでに研究論文、丹沢安治(2015)「情報テクノロジーの発達と共進化現象」(中央大学政策文化総合研究所)、学会報告丹沢安治他(2015年)「新制度派経済学の最近の現状」として一定の成果を公表している。また、定性的データの処理にかかわる方法的研究も順調に進み、ほぼ終えて今年度中に公表される見込みである。(国際戦略経営研究学会の電子ジャーナル『戦略経営ジャーナル』の「定性研究特集」に招待論文として投稿済み)定性的データに基づく研究もまた、インタビューと実態調査も重ね、丹沢安治(2016)「フィリピンにおける日系自動車メーカーの新興国ビジネス戦略」、丹沢安治(2016)「グローバル化時代の日本の中小製造業者における受注戦略」を公表した。最終的にもう一回の調査を経て、研究計画は、定量的な研究が残されているのみである。以上の成果から本研究課題はおおむね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるが、これまでの研究で明らかになった境界連結者の視点を基底として最終的にもう一度の調査を計画している。フィールドはこれまでの調査をベースとするため、東南アジアを選ぶ予定である。境界連結者は当初は、現地の経営者を予定していたが、これまでの調査から、むしろ、現地の組織を考えている。具体的には、地域統括組織としてとらえ、今夏までに成果をまとめる。今年度後半には、連携研究者と協力して定量的な研究に臨みたい。
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Causes of Carryover |
2016年末に発注した消耗品の納品が遅れ、処理に間に合わなかったため、次年度使用額として処理した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2016年度末(2017年2月)に納品されたため、すでに2017年度初めに処理した。他は、計画通り、最終的な実態調査を行うとともに定量的研究のために支出する。
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Research Products
(3 results)