2015 Fiscal Year Research-status Report
両立支援策の利用がキャリア形成にもたらす影響とそのメカニズム
Project/Area Number |
15K03688
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
坂爪 洋美 法政大学, キャリアデザイン学部, 教授 (10329021)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 有珍 山梨学院大学, 現代ビジネス学部, 講師 (40633889)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | ワーク・ライフ・バランス / 女性のキャリア / 管理職 / 短時間勤務制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は両立支援策利用者に対する管理職の行動に関する先行研究ならびに女性活躍推進に関する先行研究のレビューを行うと同時に、既に実施済みである調査の分析を行った。具体的には、育児を理由として短時間勤務制度を利用する正社員を部下とする管理職を対象として、管理職が有する短時間勤務制度利用者のキャリア展望と、キャリア展望と管理職の行動との関連、ならびにキャリア展望と他の人材マネジメントとの関連を検討した。短時間勤務制度利用者を利用する正社員を部下とする559名の管理職を対象とした調査の分析から以下の点が明らかになった。 (1)76.2%の管理職が、短時間勤務制度の利用は利用者のキャリアの遅れの発生に繋がり、42.4%の管理職は、短時間勤務制度の利用によって生じたキャリアの遅れは挽回することができないと捉えている。 (2)管理職が認識するキャリア展望によって、短時間勤務制度を利用する部下への行動には違いがあることが確認された。具体的には、「挽回可能な遅れ群」(キャリアの遅れは発生するが挽回できると認識する管理職群)では部下の仕事の難易度をあまり低下させない、部下の能力・スキルが停滞しないように働きかけるといった利用者のキャリア形成という中長期的視点に立った行動をより積極的に取っている。 (3)挽回可能な遅れ群」に該当する管理職が所属する企業では、上司部下間の良好なコミュニケーションを重視し、性別にかかわりなく社員の能力発揮をより推進するような人材マネジメントを重視している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2015年度は(1)文献研究のレビュー(両立支援策利用者に対する管理職の行動に関する先行研究ならびに女性活躍推進に関する先行研究のレビュー)、(2)すでに実施済みの調査(短時間勤務制度を利用する正社員の部下を持つ管理職を対象とした調査)の分析と報告、(3)短時間勤務制度を利用する正社員の部下を持つ管理職を対象とする新たな調査の実施、という3点の実施を計画していた。(1)と(2)は当初の予定通り遂行されたが、(3)については実施に至らなかった。 その理由としては以下3点を上げることができる。第1に、既に実施済みの調査データに関する分析に時間がかかったことである。第2に、既に実施済みの調査データに関する分析結果ならびに調査実施上の課題から、調査対象を当初予定していた管理職から短時間勤務制度利用者に変更したことである。この変更により、仮説を再度構築することが必要となり、併せて調査票の設計を最初からやりなおす必要が生じ、当初の予定以上に時間がかかることとなった。第3に代表者ならびに分担者双方の個人的な事情により、当初想定していた程度のエフォートを調査に割り当てることができなかったことである。
|
Strategy for Future Research Activity |
2016年度は2015年度に実施できなかった調査を実施する予定である。調査票の作成に当たっては、この領域の専門家にアドバイスをもらうことで調査票の完成度を図る。また、実務家からもアドバイスをもらうことで調査票の完成度を高める。 また質問紙調査を2016年度前半に実施し、その分析を2016年度中に行うことで2015年度の遅れをカバーする。併せてインタビューも同時平行で実施することで、2016年度計画の遂行を行う。
|
Causes of Carryover |
前述したように2015年度当初、短時間勤務制度を利用する正社員の部下を持つ管理職を対象とした調査を実施する予定であった。しかしながら既に実施済みの調査データに関する分析結果ならびに調査実施上の課題から、調査対象を当初予定していた管理職から短時間勤務制度利用者に変更したため、2015年度内に調査の実施まで行うことができなかった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在調査票がほぼ完成していることから、2015年度実施予定であった調査を2016年度の実施する予定である。2015年度当初の計画では2016年度には調査を実施しない予定になっていることから、今年度実施することで研究の遅れはカバーできるものと捉えている。
|
Research Products
(3 results)